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インプラントにフッ素は危険?インプラントとの相性と正しい使用方法

インプラント治療を行った後は、天然の歯と同じように人工歯を使えるようになります。

健康なまま歯を維持するためには定期的な検診やメンテナンスが必要ですが、自宅でのセルフケアも欠かさず行わなければなりません。

ここでは、インプラントの手入れや歯科医院での治療に使われる「フッ素」の取り扱いについて、インプラントとの関係も含めて詳しく紹介します。

フッ素とはどんなもの?

フッ素は地球上に広く存在するミネラル成分の一つで、歯の発育期に摂取することで虫歯になりにくくなるとされています。大人になってからもフッ素を使い、虫歯を予防することが可能です。

天然の歯を強くする効果がある

主な効果としては、フッ素が歯に作用することで耐酸性の性質を持ち、安定した結晶構造を得て歯の質が強化されます。この効果により虫歯菌の繁殖を予防し、虫歯の元となる酸がつくられる過程もブロックします。

さらにフッ素は歯の再石灰化を促進します。だ液の中に含まれるカルシウムやリン酸を歯に吸着させるので、初期の虫歯を改善する効果が期待できます。

チタン製歯科素材へのリスクも

天然の歯を強くしてくれる効果がある一方、人工の土台であるインプラントに使用する際には要注意。

フッ素が口の中で水素イオンと結合すると「フッ酸」という物質になり、フッ酸になる際にチタン製の人工物を腐食させるため、その影響で歯周炎を起こすリスクがあるといわれています。

フッ素は、歯科医院での塗布や洗口などに使われますが、他にもフッ素入り歯磨き粉も市販されています。チタン製のインプラントを入れている方は、フッ素を使用しないように注意が必要です。

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インプラントにフッ素は合わない?

インプラントをはじめ、歯への被せ物にはチタンという金属が多く用いられています。チタン製の歯科素材のうち、インプラントは骨を直接削って埋め込むことから、フッ素を使うことでインプラントの周辺の組織が歯周炎を起こしやすくなり、侵食が進む可能性があります。

インプラントに影響を与える可能性が問題視されている

人間の口の中は細菌が常在菌として棲み着いており、インプラントの周囲にも常にこれらの菌が存在しています。インプラントの支柱の周辺は歯肉が覆っているため、正しく埋め込まれているぶんには細菌感染のおそれはありません。

しかし、インプラント本体やその上にあるアバットメント、上部構造がフッ素によって腐食すると、すき間ができてしまい細菌感染のリスクを高めます。また、腐食が歯周組織に与える影響も問題視されています。

インプラント自体は正しく埋め込み、装着すれば問題はありませんが、経年劣化や患者さんの口腔内環境の変化、あるいは加齢による歯肉の状態の変化などから、埋め込んだものがぐらつくおそれも。

フッ素はチタン製の歯科素材の腐食を進める可能性があるため、こまめにメンテナンスを行うことができない場合は使用しないほうが良いでしょう。

天然の歯が多い人には適しているともいわれている

平成27年に日本口腔衛生学会フッ化物応用委員会が研究結果として、フッ化物を配合した歯磨き粉はチタン製の歯科材料を使っている患者さんにも推奨されると発表しました。

この発表では、口の中にだ液が十分に含まれている場合、フッ素が薄められているため危険性が減ること、またフッ素には天然の歯を強化して守る効果があることから、虫歯への効果は高く評価されていることなどがポイントとして挙げられています。

ただし、だ液の量が少ないドライマウスの方や高齢の患者さんについては、フッ素を安易に使うべきかどうかで意見が分かれています。

フッ素の適合度は口の中の状態によって変わる

フッ素の危険性が取り上げられるようになり、インプラント治療を行っている歯科医院では、フッ素の入った歯磨き粉を採用せず、患者さんにもフッ素のリスクを周知しているところが増えてきています。

しかしそれとは反対に、天然の歯の健康を考えてフッ素入の歯磨き粉などを積極的に使うよう勧める歯科医院もあるため、患者さんにとっては迷うところではないでしょうか。

フッ素を使うべきか否かは、患者さんの口の中の状態によって変わります。かかりつけの医院でよく説明を聞いて、納得のできる方法で治療を受けるようにしましょう。

インプラントに合う歯磨き粉を選ぼう

チタン製のインプラントにとって、フッ素はリスクの高い成分とされています。しかし、フッ化物を配合した歯磨き粉を使っても一般的な患者さんの口腔環境は腐食を起こすのにふさわしい状態ではないため、「フッ素入りの歯磨き粉でも問題はない」とする意見もみられます。

患者さんとしては、少しでも歯と歯の周辺組織に副作用がかかる治療は避けたいところ。もしも、かかりつけの歯科医院がフッ素入りの歯磨き粉を推奨してきたら、素直に使っていいものか迷ってしまいますね。

チタンとフッ素の相性についてはさまざまな研究がされていますが、リスクがあると判断した場合には使用を避け、安全な方法でデンタルケアを行うことをおすすめします。

天然歯が多い場合はフッ素入りの歯磨き粉でもOK

天然の歯がまだ口の中にたくさん残っており、インプラントを入れた歯がごく一部である場合には、フッ素を配合した歯磨き粉や歯磨きジェルを使うこともできます。口の中全体の健康を考えて、あえて虫歯に強いフッ素を使うという方法です。

反対に、オールインプラントの方、もしくは上あごや下あごのどちらかがすべてインプラントの歯になっている方は、フッ素を避けて安全な歯磨き粉を選びましょう。

研磨剤入りの歯磨き粉はインプラントには不向き

また、歯磨き粉のなかにはざらついた触感のものがあります。このペーストの中には研磨剤などが含まれていますが、研磨剤は基本的に健康な歯に対して使うもの。

インプラントを入れた方が使うと、顆粒が被せ物の歯と歯茎の間に挟まり、時間の経過とともに「インプラント周囲粘膜炎」を引き起こす可能性があります。

インプラント周囲粘膜炎は放置しているとインプラント歯周炎へと進行するため、必ずインプラントに適した歯磨き粉を使うようにしましょう。

歯磨き粉は製品の特徴を知って自分に合うものを選ぶ

歯磨き粉は味や硬さなどさまざまな製品が揃っていますが、一つ一つの製品ごとに特徴があり、歯の質に合わせて選ぶこともできます。

選び方がよくわからないときには、歯科医院で直接インプラントの歯に合った歯磨き粉を選んでもらうか、歯科医と一緒に選ぶことをおすすめします。定期検診や歯のメンテナンスの際に、症状に合う歯磨き粉について相談してみてください。

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インプラント治療を受けた後は専用のケアを

インプラント治療を受けたあとは、歯根から被せ物までがすべて人工の歯に置き換わります。そのため、天然の歯と同じようにフッ素を作用させると、腐食や歯周炎などのリスクが高まる可能性があります。

基本的にフッ素は健康な天然の歯に使うものなので、インプラント治療を受けた後はインプラント専用のデンタルケアに移行しなければなりません。

インプラントの周辺は磨きにくく歯垢が溜まりやすいため、普段から念入りにケアをしたいところですね。

歯磨きは念入りに行う

歯磨きについても、今までと同じブラシではなくさらに細かいものがおすすめです。

磨く場所は上の被せ物(いわゆる擬似的な歯)ではなく、上と下のつなぎ目の部分に汚れが溜まらないように注意しましょう。

また、歯ブラシだけでは汚れが落としきれない可能性があるため、補助用のフロスや先の細かい歯ブラシなどを使い、細かいところまできちんと磨くことが大切です。

インプラントを入れた患者さんには、歯科衛生士からセルフケアの方法がレクチャーされます。分からないことがあれば質問をして、検査やメンテナンスの頻度などについても確認しておきましょう。

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