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インプラントと入れ歯それぞれの違いとは?どっちがいいのか判断するポイントなどを解説

歯を失った場合に義歯を装着する方法として知られているのが、インプラントと入れ歯です。しかし、インプラントと入れ歯がどのように違うのか、明確に理解していない方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、インプラントと入れ歯の違いについて詳しく解説します。また、入れ歯の種類別の特徴についても解説するので、参考にしてください。

インプラントと「入れ歯」の違い

インプラントと入れ歯の違い

インプラントと入れ歯、それぞれの特徴の違いは次のとおりです。

項目 インプラント 入れ歯
しっかり食べられるか ×
見た目に金属が見えないか
滑舌良く会話をできるか ×
虫歯や歯周病のリスク
治療における制約
メンテナンス・手入れ
治療前後にかかる費用 ×
使い続けられる期間

しっかり食べられるか

インプラント

食べ物をしっかり食べられるかどうかは、歯根の有無が大きく関係します。

歯根とは歯茎の中に埋まっている歯のことをいいます。歯が口の中に露出している部分(歯と呼ぶ部分)を歯冠、歯冠より下の埋まっている部分が歯根ということになります。また、歯冠と歯茎の骨の間には歯根膜という膜があります。

天然の歯で物を噛むときには、歯根で噛む力を負担しています。歯根膜には噛む力を調節する役割があります。

インプラントの場合、人工の歯根を埋め込む治療を行います。そのため、インプラントされた歯で物を噛む場合は、人工歯根が噛む力を負担することになります。人工歯根があるため、インプラントでは天然の歯と変わらない感覚で食べ物を噛むことができます。

また、インプラントの人工歯根には歯根膜がないため、最大咬合力は強くなります。実際、食べ物を噛む効率は、天然歯での効率の80%以上になるといわれています。

一方で、噛む力を調節できないため、歯を痛めてしまう可能性がある点には注意が必要です。

入れ歯

入れ歯は歯を失った部分に義歯をはめ込んで使用します。つまり、入れ歯には歯根がないため、噛む力を支えることができません。

天然歯と同じように食べ物を噛むことは難しく、異物感の原因になることがあります。

また、入れ歯は歯根ではなく歯肉で義歯を支えます。もし、歯肉が柔らかい場合は物を噛むたびに入れ歯が沈む可能性があり、噛む効率は天然歯よりも弱くなります。

見た目に金属が見えないか

インプラント

歯を失った部分にインプラントを選ぶメリットの一つが、審美性の高さです。

インプラントは、人口の歯根を設置した箇所に被せ物をします。白い被せ物で治療をすれば金属が見えることはなく、見た目も自然な仕上がりとなります。そのため、義歯を装着していると気づかれることはほとんどありません。

また、インプラントは入れ歯に比べて食べ物をしっかり噛みやすくなります。口周りの筋肉も鍛えられるため、アンチエイジングの効果も期待できます。

入れ歯

一方、歯を失った部分に入れ歯を選ぶ場合のデメリットが、入れ歯を固定するための金属が見えてしまうことです。

入れ歯を装着する部分や入れ歯の種類によっては、金属やバネの部分が見えてしまうため、入れ歯をしていることが見た目でわかってしまう可能性があります。特に、部分入れ歯の場合は見た目で目立ちやすくなるでしょう。

ただ、最近では金属やバネが見えず、入れ歯であることが目立たない入れ歯も登場しています。また、見た目の美しさだけではなく、歯としての機能を兼ね備えているので、選びやすいといえるでしょう。

滑舌良く会話をできるか

インプラント

義歯を装着した際に滑舌よく会話できるかどうかのカギを握るのは、舌の動きを邪魔しない構造であることです。

インプラントは、顎の骨に埋め込まれた人工歯根に被せ物をする構造となっているため、舌の動きを邪魔するものがありません。

歯の形や大きさともに、天然歯に近いものとなるため、インプラントを装着しても違和感なく会話できます。

入れ歯

入れ歯を装着し始めると、会話がしにくくなったと感じる方が多い傾向にあります。この違和感は時間の経過とともに薄れていきますが、場合によっては改善されずに悩みにつながる可能性があります。

入れ歯を装着することで会話がしにくくなる原因は2つあります。

1つは前歯同士の隙間のサイズが変わるためです。特に発音が難しくなるのがサ行の言葉です。ローマ字で「Sh」や「Th」と発音するものを歯擦音といい、これらの発音は顎をずらした隙間を使い、息を漏らして発音しています。

入れ歯を装着することで、前歯同士の隙間のサイズが変化することで、これまでの間隔とは異なってしまうため、発音しにくくなります。

もう1つの原因が、舌が動くためのスペースが変わるためです。歯の内側には舌房と呼ばれる、舌が動くためのスペースがあります。舌房は言葉の発音に大きく影響しますが、入れ歯を装着することで舌房が狭くなってしまいます。

ここでも感覚の違いが生まれるため、はじめのうちはうまく発音できなくなってしまうのです。ただし、繰り返し発音の練習をすることで、発音のしにくさは解消されるケースがほとんどです。

虫歯や歯周病のリスク

インプラント

インプラントを装着した場合、虫歯になることはほとんどないほか、インプラント周辺の歯に影響を及ぼすケースも少ないといえます。

ただし、これは正しいブラッシングやケアをした場合です。食後の歯磨きなどを怠った場合、インプラント周辺の歯で虫歯が発生する恐れがあります。

また、インプラントの場合、虫歯や歯周病の感染を予防する役割を持つ歯根膜がありません。そのため、インプラント周辺でインプラント周囲炎が発生するリスクがあります。

入れ歯

入れ歯の場合、入れ歯そのものが虫歯になったり、歯周病になったりすることはありません。ただし、歯の根っこを残している場合は、虫歯や歯周病が発生するリスクがあります。

また、入れ歯の装着時に使用する義歯安定剤はクッション性と吸水性があるため、口内の細菌が貯まりやすくなります。

いずれにしても、口腔内のケアや歯磨きなどを適切に行わなければ、口内トラブルが発生するケースがある点には注意が必要です。

治療における制約

インプラント

インプラントには年齢制限がないため、条件さえ満たせば治療を受けられます。ただし、以下の症状や持病がある場合は、インプラント治療を受けることはできません。

  • 重度の糖尿病を患っている場合
  • 循環器系の疾患がある場合
  • 放射線治療中または治療後である
  • 血液系疾患を患っている場合
  • 骨粗しょう症を患っている場合
  • 歯周病を発症している場合

糖尿病が進行している状態では、免疫力が低下しているために歯周病が発生したり、骨とインプラントの歯根がつながらなかったりする恐れがあります。

高血圧や心筋梗塞、脳梗塞など、循環器系疾患を持つ場合、ガンの治療では放射線治療を行っている場合は、インプラント治療ができないケースがほとんどです。

血液系疾患がある場合は、インプラント治療を含めた外科手術を避けなければなりませんし、骨粗しょう症の治療でビスフォスフォネート剤を使用している場合も、インプラント治療は受けられません。

最後に、すでに歯周病を発症して歯を失っているケースでは、歯を埋め込むための骨が少なくなっている場合があります。また、口腔内に衛生状態の悪化が懸念されるため、歯周病の治療が優先されるケースが多いでしょう。

上記以外にも、インプラント治療を受けられない場合があるため、治療前に歯科医師に相談しておきましょう。

金属アレルギー反応が起こる恐れも僅かにある

また、インプラントでは人体との親和性が高いチタンという金属が使われているため、金属アレルギーは発症しづらいといわれています。

ただ、純度100%のチタンでインプラント器具を作成するのは難しく、安価なメーカーではチタンとその他の金属の混合物によって器具が作られている場合があります。そのため、混合されているわずかな金属によってアレルギー反応が起こる恐れもあります。

こちらも歯科医師に相談することをおすすめしますし、インプラントには純度の高いインプラント器具を使っている歯医者を選択するようにしましょう。

入れ歯

入れ歯については、持病や疾患などによる制約はありません。

ただし、金属アレルギーを持っている場合は注意が必要です。入れ歯の形状によって異なりますが、入れ歯には金属が使用されているケースがあるため、事前の相談や確認が必要になるでしょう。

金属アレルギーを持っている場合は、金属をまったく使用していない入れ歯を選択するのがおすすめです。

メンテナンス・手入れ

インプラント

インプラント治療を実施した後は、天然歯と同じようにクリーニングなどのメンテナンスを行う必要があります。頻度は3ヶ月から半年に1回程度が目安です。

入れ歯

入れ歯を装着している場合も、定期的なメンテナンスが推奨されています。

入れ歯が骨格や噛み合わせに合う調整されているか、自然な見た目になっているか、適切に手入れがされているかなどが確認されます。入れ歯が利用者に合っていない場合、頭痛や肩こりの原因となるケースもあります。

また、入れ歯が合わなくなった場合には、義歯の内面を削り新しく張り替えるリベースという処置が必要になるケースもあります。

いずれにせよ、3ヶ月から半年に1回程度の定期的な通院が必要になると考えておきましょう。

治療前後にかかる費用

インプラント

インプラント治療は保険適用外となるため、治療にかかる費用は高額になりやすいといえます。

初期段階での診断やカウンセリング代金が発生するほか、治療前にCT撮影が必要な場合は別途撮影費用も必要になります。

また、実際の治療では人工歯根の埋入と土台・仮歯の作成などが行われ、一般的には20万円から30万円程度の費用が発生します。さらに被せ物の費用も必要となり、採用する義歯の素材によって1本3万円程度~10万円程度の費用が必要です。

歯医者や使用するインプラントメーカーによって金額は異なるため、複数の歯医者で見積もりを依頼し、比較検討するようにしましょう。

入れ歯

入れ歯は、保険適用になるケースとならないケースがあり、それぞれ価格が異なります。

保険適用となる一般的な部分入れ歯は5,000円から13,000円程度で作成可能ですし、総入れ歯の場合でも片顎に付き15,000円程度の費用で済みます。

一方、保険適用外となる入れ歯を作成した場合は、片顎に付き10万円から20万円以上の金額となるケースもあります。

当然、これらの金額はあくまでも目安であり、口内の状況などによって変動します。詳しくは歯医者に相談のうえ、見積もりを出してもらいましょう。

使い続けられる期間

インプラント

インプラントは、入れ歯などと比較して長い期間使用できるというメリットがあります。

平均的な寿命は10年から15年程度といわれていますが、インプラントメーカーやメンテナンスの程度によっては20年以上、30年以上使用できるケースもあります。

長期間インプラントを使用するためには、定期的なメンテナンスが必要です。数ヶ月単位でのチェックやクリーニングに加えて、10年に1度を目安にインプラントの状態を確認してもらうことが大切です。

入れ歯

プラスチック製の入れ歯の平均寿命は、3年から5年程度が目安といわれています。一方、金属製の入れ歯の場合は長年以上持つケースもあります。入れ歯に使用されている材質によって、劣化のしやすさが異なるため、このよう長さが生まれます。

入れ歯を制作した時点から口内環境が変わらないケースはほぼありません。残っていた歯が抜けたり、別の場所で虫歯や歯周病が発生したりするなど、何らかの影響によって入れ歯の作り替えが必要になる場合があることは理解しておきましょう。

インプラントと「部分入れ歯」の違い

インプラント部分入れ歯違い

インプラントと部分入れ歯、それぞれの特徴の違いは次のとおりです。

項目 インプラント 部分入れ歯
しっかり食べられるか ×
見た目に金属が見えないか ×
滑舌良く会話をできるか ×
虫歯や歯周病のリスク
治療における制約
メンテナンス・手入れ
治療前後にかかる費用 ×
使い続けられる期間

しっかり食べられるか

インプラント

インプラントでは人工歯根を埋め込むため、天然歯と同じように噛むことができます。

部分入れ歯

部分入れ歯の場合、歯根がないため、歯がない歯肉の部分や入れ歯を固定するための金具をひっかける歯で噛む力を負担します。

天然歯で噛む力を支える部分が使えないことに加え、歯肉が柔らかい場合は部分入れ歯が沈み込んでしまうため、最大咬合力は天然歯と比較して40%程度になります。

部分入れ歯を装着する場合、食べ物が食べにくくなる点は覚悟しておいた方がいいでしょう。

見た目に金属が見えないか

インプラント

インプラントでは人工歯根を埋め込んで被せ物をするため、金属が見えることはありません。

部分入れ歯

部分入れ歯は歯を失った部分に義歯を装着するためのもので、基本的には取り外し方式となります。また、口内に定着させる必要があり、金属製の留め具が付いています。

部分入れ歯ではこの金具が見えてしまうため、審美性の面でインプラントより劣ってしまうのです。

また、特殊な装置を使えば金属を目立たなくすることはできるものの、完全になくすことはできません。

滑舌良く会話をできるか

インプラント

インプラントは、人工歯根に被せ物をする構造なので、舌の動きを邪魔することがありません。そのため、違和感なく会話できます。

部分入れ歯

部分入れ歯は、義歯の土台となる床と呼ばれる部分や、義歯を固定するための金具があります。そのため、口の中の舌が動くスペースが狭くなりやすいといえます。

また、部分入れ歯を安定させるために、金具を反対側まで伸ばすケースもあり、舌の動きを阻害することがあります。

これらの要因から、部分入れ歯を装着している場合、話しづらさを感じることがあるでしょう。

虫歯や歯周病のリスク

インプラント

きちんとメンテナンスやブラッシングをした場合、インプラント自体に虫歯や歯周病が発生することはありません。

ただし、虫歯・歯周病の感染を予防する歯根膜がないため、インプラント周囲炎を発症するリスクがあります。

部分入れ歯

部分入れ歯はレジンという樹脂やセラミック、金属などの素材で作られています。そのため、入れ歯そのものに虫歯や歯周病が発生することはありません。

ただし、入れ歯を固定するための金具をかける歯や入れ歯に接する歯などには食べカスや汚れがたまりやすいため、周辺で虫歯や歯周病が発生するリスクがあります。

入れ歯の金具をかける歯は、ものを噛むたびに力が加わって揺れ動くため、歯周病が発生するリスクが高まります。

治療における制約

インプラント

インプラントは顎の骨がしっかりしていれば、誰でも治療可能です。ただし、持病や疾患、治療中の病気や症状などによっては、インプラント治療ができないケースもあるため、事前の確認・相談が必要です。

部分入れ歯

部分入れ歯の場合、外科手術を行うことはなく、取り外しができる義歯を受けから被せる構造であるため、治療時の制約は特にありません。

メンテナンス・手入れ

インプラント

インプラントの治療後には、クリーニングなどのメンテナンスが必要になるため、3ヶ月から半年の1回程度の通院が必要になります。

部分入れ歯

部分入れ歯では、入れ歯そのものの状態や周辺の歯の状態をチェックするために定期メンテナンスが必要です。歯周病の恐れがある場合や、歯周病の状態が良くない場合は、3ヶ月に1回程度の通院が必要です。

さらに、部分入れ歯では半年に一度程度の頻度で、素材の内側を少し削り、新しい材料を足すメンテナンスを行うケースがあります。

治療前後にかかる費用

インプラント

そもそもインプラント治療は保険適用外となるため、入れ歯と比較して治療費用は高額になります。

治療する歯医者や使用するインプラントメーカーによって治療にかかる費用は変動し、インプラント1本あたり20万円から40万円程度の費用がかかると考えておきましょう。

部分入れ歯

部分入れ歯には、保険適用のものと保険適用外のものがあります。

保険適用になる部分入れ歯は安価で、費用は5,000円から1万3,000円程度です。ただし、歯の欠損具合によって費用は変動します。

保険適用外の部分入れ歯は、保険適用のものと比較してプラスチック同士をつなぐ金属が薄い、安定性が高い、強度があるなどの特徴があります。

一方、保険適用外で高額になる傾向にあり、片顎に付き15万円程度は必要になります。

使い続けられる期間

インプラント

インプラントの平均寿命は10年から15年程度ですが、メーカーやメンテナンスの程度によっては30年以上使い続けられるケースがあります。

部分入れ歯

部分入れ歯の平均寿命は4年から5年といわれています。医学的にも3年から5年で交換するのが一般的です。

丁寧にメンテナンスを行っている場合は、10年以上使用できるケースもあります。

インプラントと「総入れ歯」の違い

インプラント総入れ歯違い

インプラントと総入れ歯、それぞれの特徴は次のとおりです。

項目 インプラント 総入れ歯
しっかり食べられるか ×
見た目に金属が見えないか
滑舌良く会話をできるか ×
虫歯や歯周病のリスク
治療における制約
メンテナンス・手入れ
治療前後にかかる費用 ×
使い続けられる期間

しっかり食べられるか

インプラント

インプラントは人工歯根を埋め込むので、天然歯と変わらず食べ物をしっかり噛むことができます。

総入れ歯

天然歯での噛む力を100とした場合、総入れ歯での噛む力は10%から20%程度になるといわれています。

また、保険適用外となるアタッチメント義歯やシリコーン義歯の場合は、歯肉との接着力が強くなるため、一般的な総入れ歯と比較して噛む力は強くなります。

見た目に金属が見えないか

インプラント

インプラントは人工歯根に被せ物をするため、見た目で金属が見えることはありません。

総入れ歯

総入れ歯では、見た目に金属が見えることはありませんので、見た目に関してはインプラントよりも有利になります。

総入れ歯を作成する場合、前歯に関しては設計上ある程度自由に作成できます。例えば、歯があったときの自身の歯並びやアイドルや俳優の歯並びに似せて作ることも可能です。

さらに、前歯の位置や歯茎の形に制限がないため、理想とする歯や歯茎の形に最大限近づけることもできます。

滑舌良く会話をできるか

インプラント

インプラントでは、舌を邪魔するものがないため、治療前と変わらず会話できます。

総入れ歯

総入れ歯を装着しはじめたうちは、治療前にように話せなくなることがあります。特に、総入れ歯が初めての場合は、違和感が大きくなることが予想されます。というのも、舌を動かせるスペースが装着前と装着語で大きく変わるためです。

ただし、ずっと話しにくいわけではありません。時間の経過とともに入れ歯に慣れていけば、うまく発音ができるようになります。

例えば、まだ仕事をしていて同僚や取引先ともよく会話するような方は、いきなり総入れ歯にすることで仕事に影響するケースがあるため注意が必要です。

虫歯や歯周病のリスク

インプラント

インプラントを装着する場合、こまめなメンテナンスやブラッシングをすれば、虫歯や歯周病が発生することはありません。

ただし、人工歯根には虫歯・歯周病の感染を予防する歯根膜がないため、場合によってはインプラント周囲炎を発症するリスクがある点には注意が必要です。

総入れ歯

総入れ歯の場合、入れ歯自体に虫歯が発生したり、歯周病を発症したりすることはありません。ただし、少しでも自分の歯の根っこを残している場合は、虫歯や歯周病になるリスクがあります。

口内ケアを怠った場合、総入れ歯であっても歯周病菌が増えることになります。口臭や来ないトラブルの原因となることがあるため、注意が必要です。

治療における制約

インプラント

インプラントは、顎の骨の状態が良い場合に治療ができます。

ただし、持病や治療中の疾患、症状などによっては、インプラント治療ができないケースもあります。治療前に歯科医師に確認することをおすすめします。

総入れ歯

総入れ歯は外科手術の必要がないため、手軽に作成できます。

ただし、顎の骨が少ない場合や、歯肉がやせている場合は、総入れ歯の作成が難しくなる場合があります。こちらも事前に歯科医師を相談したほうがいいでしょう。

メンテナンス・手入れ

インプラント

インプラントの治療後は、クリにングなどのメンテナンスに3ヶ月から半年に1回程度の通院が必要です。

総入れ歯

総入れ歯の治療後には、口内の状態や、入れ歯の材料の劣化具合など確認するために、定期的にメンテナンスを受ける必要があります。

最低でも半年に1回は歯医者に通院することになります。

治療前後にかかる費用

インプラント

インプラントは保険適用外となるため、治療費は高くなります。

治療を行う歯医者や使用されるインプラントメーカーなどによって費用価格は変動しますが、20万円から40万円程度が目安となります。

詳細な金額は歯医者に確認しましょう。

総入れ歯

総入れ歯は、保険適用で作成できるものと、保険適用外(自由診療)のものがあります。

保険適用で作成できる総入れ歯は、上下ともに製作した場合、3割負担で2万円程度になるのが一般的です。

保険適用外の総入れ歯を製作する場合、使用する材料や入れ歯の設計方法などによって費用が大きく異なります。例えば、金属床義歯であれば50万円程度の費用になるケースもあります。

使い続けられる期間

インプラント

インプラントの平均寿命は10年から15年程度ですが、メンテナンス次第では20年以上使用できるケースもあります。

総入れ歯

総入れ歯も部分入れ歯と同じく、4年から5年は使用できるといわれています。

ただし、メンテナンス次第ではそれ以上使用できる場合もあれば、数年で使えなくなるケースもあります。

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歯を失った場合の治療法は主に3種類

歯を失った場合の治療法

歯を失った場合の治療法は、大きく分けて次の3つです。

  • インプラント治療
  • 入れ歯治療
  • ブリッジ治療

インプラント治療

インプラント治療とは、歯を失った部分に人工歯根を埋入して、そこに被せ物を装着する治療方法です。失った歯の治療方法のなかで最も安定性に優れており、長期間にわたって使用できるのが特徴です。

また、天然歯と同じように噛める咬合力の高さと、見た目の美しさ、義歯の違和感が少ないなど、さまざまなメリットもあります。一方で、保険が適用されない治療方法であるため、治療費が高額になりやすいというデメリットがあります。

外科手術を伴う治療方法であり、治療期間が長くなりやすいほか、持病や治療中の疾病の種類などによっては、インプラント治療を採用できないケースがある点にも注意が必要です。

なお、インプラント器具や義歯が虫歯や歯周病になることはありませんが、ケアを怠るとインプラント周囲炎が発生する恐れがあります。

入れ歯治療

入れ歯治療とは、歯を失った部分に人口の義歯を装着する治療方法です。すべての歯を抜いてから製作・装着する総入れ歯と、部分的に製作・装着する部分入れ歯があります。

入れ歯は保険適用となるケースがあるため、インプラント治療などと比較して安価で治療できるメリットがあります。治療期間も短いため、それほど負担に感じることなく治療できるのも魅力です。

一方で、噛む力が弱くなりやすいほか、装着して間もないことは言葉が話しづらくなるのがデメリットです。部分入れ歯を固定するために留め具をひっかけた歯が傷みやすくなる恐れがあることに加え、入れ歯が合わない場合は痛みを感じたり、食べ物が噛みづらくなったりするケースもあります。

さらに、保険適用外で装着感が高い入れ歯を製作する場合は、治療費が高額になるケースもあります。

ブリッジ治療

ブリッジ治療とは、歯を失った部分の両端の歯を支えに、一体型の被せ物をする治療方法です。被せ物の固定方法が橋のようになるため、ブリッジ治療と呼ばれています。

ブリッジ治療でも保険が適用されるものがあるため、治療費を抑えやすくなるほか、両端の歯被せ物を固定するため、入れ歯のように動くことがない点がメリットです。支えとなる歯を削って治療するため、外科手術などは不要です。

一方、支えとなる歯には負担がかかりやすく、もともと健康な歯の寿命が縮まる恐れがある点がデメリットとなります。ブリッジと歯茎の間に食べカスや歯垢が溜まりやすくなり、虫歯や歯周病が発生しやすくなる点には注意が必要です。

保険適用のブリッジは銀歯とプラスチックになるため審美性に欠けます。ただし、保険適用外で製作すると審美性が向上する一方で費用が高額になるデメリットがあります。

その他の治療法

その他の治療方法としては、差し歯治療があります。差し歯治療とは、歯の根っこが残っている状態で、その上に土台を作り、義歯を被せる治療方法です。

歯の根っこがない場合は、インプラントやブリッジによって差し歯を装着できる場合があります。

歯の状態によって差し歯治療ができるかどうかが決まるため、歯科医師に相談することをおすすめします。

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インプラントと入れ歯、自身に合う治療方法を選ぶ基準

自身に合う治療方法を選ぶ基

失った歯の治療にインプラントと入れ歯のどちらを選択すればいいのか判断できない場合は、次のポイントをチェックして治療方法を選択しましょう。

  • 治療法を受けられる年齢がオーバーしていないか
  • 失ってしまった歯の本数と状態
  • 自身が希望する条件に合っているか
  • 天然歯に近いと感じられるのが一番のポイント

治療法を受けられる年齢がオーバーしていないか

失った歯の治療方法を選ぶ際は、自身の年齢について考えましょう。インプラントと入れ歯(保険適用・適用外ともに)では、治療の年齢制限はありません。

ただし、インプラント治療では定期的なメンテナンスが必要になり、受診可能かどうかがインプラントの維持に大きく影響します。

特に、高齢によって歯医者への通院・メンテンナンスを受けることが難しいと感じる場合は、治療時間短い入れ歯を選択したほうが賢明かもしれません。

失ってしまった歯の本数と状態

歯の治療方法は、失った歯の本数や状態でも検討しましょう。

一般的に健康な状態の歯は、上下14本ずつの計28本あります。片顎に月7本以下しか歯がない場合、保険適用の入れ歯では残った歯への負担が大きくなりやすいため、残りの歯を抜いて総入れ歯にするケースがあります。つまり、失っていない健康的な歯を排除する可能性があるわけです。

一方、インプラントでは失った歯と同じ本数分の義歯で対応できます。歯を失っている状態によっても、治療方法を検討する必要があります。例えば、奥歯がない場合、入れ歯の沈み込みによって痛みが発生する恐れがあります。

インプラント治療では人工歯根を埋め込むため、歯の沈み込みは発生しませんが、上顎洞や下顎神経に対する障害リスクを理解しておかなければなりません。

このように、失った歯の本数や歯の状態によって、どの治療方法が適しているのか、または安全なのかが異なるため、歯科医師としっかり相談することが大切です。

自身が希望する条件に合っているか

歯の治療方法を選択する場合は、自身が何を望んでいるのかを明確にしましょう。

例えば、天然歯と同じような咬合力を求める場合は、入れ歯よりもインプラントを選択するべきといえます。一方、歯の治療費用をできるだけ抑えたいのであれば、保険適用となる入れ歯治療を選択したほうがいいでしょう。

治療にかかる時間も費用も糸目をつけない場合は別として、多くのケースで優先すべきなのは「あなた自身がどうしたいのか」ということです。その上で、「希望条件に最も合った治療方法は何なのか」ということです。

また、費用や期間の関係で、希望のすべてを実現できない場合は、どの治療方法なら何ができるのかを、じっくり比較・検討する必要があるでしょう。

天然歯に近いと感じられるのが一番のポイント

失って初めて、歯や口内の感覚に気付くことがあるかもしれません。そして、失った歯は戻ってきませんが、以前とできるだけ似た感覚で治療できるのが現在の歯科医療です。

天然の歯と同じ感覚を取り戻したいと考えるのであれば、インプラント治療をおすすめします。インプラント治療では外科手術によって人工歯根を埋め込み、義歯の被せ物をします。そのため、天然の歯とほぼ同じ感覚でものを噛むことができ、言葉を話すことができます。

インプラント治療では定期的なメンテンナンスが必要になるものの、一度治療を行う長期間にわたって使用できるため、長い目で見た場合におすすめできる治療方法でもあります。

天然の歯に近い感覚を求めるなら、インプラント治療を検討してみてください。

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まとめ

今回は、インプラントと部分入れ歯・総入れ歯の特徴の違いについて解説しました。歯を失った場合の治療方法には、インプラント治療や入れ歯治療などがあり、それぞれ特徴が異なります。

天然歯に近い感覚の義歯を使用できるのはインプラント治療ですが、保険適用外となるため治療費が高額になりやすいデメリットがあります。

一方、入れ歯は保険適用内で対応すれば費用を安く抑えられますが、食べ物を噛む感覚や話す感覚が変わるほか、審美性が乏しい傾向にあります。

自分に最適な治療方法が分からない場合は、気軽に歯医者へ相談してみましょう。専門的な知見から適した治療方法を提案してもらえます。

本記事が、あなたの歯の治療方法選びの参考になれば幸いです。

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