賃貸物件で給湯器が故障した際の解決策!優先連絡先や費用負担の所在も解説

賃貸物件で給湯器が故障した際の解決策!優先連絡先や費用負担の所在も解説

賃貸物件の給湯器が壊れたら、アパートやマンションの大家さん、または管理会社に電話をしましょう。一軒家とは異なり、賃貸物件の給湯器は大家さんの持ち物です。

給湯器が壊れたからといって、直接ガス給湯器メーカーに修理や交換をしてしまうと、後々トラブルになることも。

この記事では、賃貸物件で給湯器が壊れた場合、どのように対処するのが適切なのか、優先したい連絡先や修理費用負担の所在などについて解説します。

賃貸物件で給湯器が故障した際の連絡先

賃貸物件で給湯器が故障をしたら、物件の管理会社または大家さんに連絡をしましょう。なぜなら、ガス給湯器など賃貸物件に備え付けの機器は物件所有者の持ち物であり、故障の修理費用は大家さんが負担をするのが一般的だからです。

大家・物件のオーナー

マンション、アパートにお住まいの方は、物件のオーナーである大家さんに給湯器の故障を相談してください。

給湯器など初期設備が通常の使用で壊れた場合、大家さんの負担で修理または交換が行われます。そのため、入居者が給湯器の修理費用を支払う必要はありません。

初期設備には、給湯器のほかガスコンロやエアコン、物件と一緒になっている設備機器などが含まれます。

修理では直せず交換となった場合の費用も原則として大家さんの負担になります。ただし、大家さんが管理していない物件の場合、次項で説明する管理会社に連絡を取ってください。

管理会社

管理会社は物件のオーナーと契約を結び、管理業務を代行しています。大家さんの中には、自ら物件を管理し家賃などの集金をする方もいますが、ほとんどの場合、管理会社が物件管理をしています。

賃貸物件にお住まいの方は大家さんに会ったことがない、オーナーを見たことが無いといったケースも珍しくありませんね。管理会社が入っている物件であれば、大家さんやオーナーではなく、管理会社に給湯器の故障を伝えればOKです。

設備の修繕は原則、家主の責務

物件の設備が経年劣化、または自然故障をした場合、賃貸物件の家主には修繕の義務があります。民法第606条には賃貸物の修繕等について、以下のように定められています。

民法第606条(賃貸物の修繕等)

1. 賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。

賃貸借契約書には「給湯器やエアコンなどの設備の修理責任は家主にある」と書かれているのが一般的です。給湯器が故障したら、まずは賃貸借契約書に設備の記載があるかどうか、確認しましょう。

参考リンク:賃貸人の修繕義務と賃借人による修繕/ 賃借物の一部滅失等による賃料減額(独立行政法人 国民生活センター)

連絡が付かない場合

大家さんや管理会社と連絡が付かない場合も、無断で給湯器メーカーや修理会社を依頼するのはNGです。

連絡が取れないと、給湯器が使えずイライラする気持ちは分かりますが、賃貸物件の設備は入居者の所有物ではありません。ルールとしては、管理会社またはオーナーに連絡を取り、彼らが業者に依頼するのを待つ必要があります。

なお大家さんや管理会社の連絡先が分からない場合、入居時に交わした書類に連絡先が書かれています。

  • 契約書
  • 重要事項説明書
  • 賃貸住宅紛争防止条例に基づく説明書

最近では24時間対応のコールセンターや、管理サービスをオプション契約できる賃貸物件も増えています。いまお住まいの物件がどのような管理契約を結んでいるのか、今一度入居時に交わした契約書を確認してみましょう。

緊急時には、自分で連絡が必要な場合も

給湯器が故障で使えない場合には、大家さんや管理会社を待つのが原則ですが、給湯器周りの水道管が破裂していたり、ガス漏れなどの緊急事態については例外です。

放置をすると生活に支障をきたすような緊急事態については、水道・ガス会社に連絡してください。後述しますが、急を要する場合については借主の判断で修理を頼んでも、法的に認められるよう民法が改正されました(改正民法606条1項の2)。

修理にかかった費用は領収書を保管し、後日、家主や管理会社に報告をしてください。

賃貸における給湯器交換費用の負担について

賃貸物件で給湯器が壊れた場合、原則として大家さんの負担で修繕が行われます。ただ、故障の原因によっては、入居者が修繕費用や交換費用を負担する場合もあります。

賃借人の過失や特約がない限り大家負担

大家さんには、借りている物件が正常に使用できる状態を保つよう修繕の義務があります。そのため、賃貸契約書に特約がなければ大家さんが修繕の義務を負います。

参考リンク:賃貸アパートのガス給湯器が故障した場合の費用負担は?(独立行政法人 国民生活センター)

ただし、修繕の義務は民法における任意規定であり義務ではありません。賃貸契約書に「賃貸人が修繕義務を負わない」等の免責事項があれば、賃貸人は修繕の義務が生じません。

先に民法第606条について説明しましたが、2020年4月に民法改正が行われ、新たな条文が追加されました。

民法第606条(賃貸物の修繕等)

1. 賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない。

上の赤字で書かれた部分が改正で変わった部分です。本条項では、入居者側の過失などによって修繕の義務が生じた場合、貸主に費用を負担の義務が無いことを表しています。

このような法改正が行われた背景には、賃貸物件の修繕費や費用の所在について度々トラブルが起きていたからです。

無料で交換・修理してもらえるケース

経年劣化による故障、通常の使用で壊れた、災害などによって故障した場合、原則として大家さんの負担で給湯器が交換・修理してもらえます。

有償(自己負担)で修理が必要なケース

賃貸物件であっても契約書に特約がある場合や、借主が故意に設備を破損した際には、自己負担で給湯器を修理または交換する必要があります。

前項で大家さんの義務について説明をしましたが、入居者にも義務があります。例えば、現行民法616条、改正民法(2020年4月1日施行)601条後段により、引き渡された部屋を貸主に返却する義務が明示されています。

民法第601条(賃貸借)

賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。

通常の使用や経年変化については修繕の義務はありませんが、賃貸物件に損害を与えた場合、借主には原状回復の義務が生じます。法務省のホームページでは、法改正後どのような点が変わったのか、事例をもとに分かりやすく解説しています。

参考リンク:賃貸借契約に関するルールの見直し(法務省)

また、入居者側が設備に故障や水漏れがあるのを知っていながら長期間放置し、結果として機器が修繕不可能になった場合や、故意による過失で建物に損傷が生じた場合も、入居者側が修繕費を負担する必要があります。

民法第400条(善良なる管理者の注意義務)

債権の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、その引渡しをするまで、契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らして定まる善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない。

このように入居者側には、民法で定められた「善管注意義務」があります。入居者が設備の不具合を知っていたり発見した場合には、オーナーである大家さんに報告する義務があるのです。

また特殊なケースですが、賃貸契約書に「専有部分の修繕費用は借主が負担する」と書かれていた場合には、経年劣化や自然故障であっても入居者側が費用を負担します。

故意に給湯器を壊してしまった場合、個人賠償保険は使えません。個人賠償責任保険は、他人の所有物を壊した場合には補償されますが、賃貸物件など他人から借りている物は補償の対象外です。

契約書に書かれていない場合の解決策

賃貸物件の設備の修繕について免責事項もなく、契約書に何も書かれていない場合は、貸主が修繕の義務を負担しない可能性が高いです。

とはいえ賃貸契約を結ぶにあたり、任意ではあっても修繕の義務は広く知られていますし、貸主側が負担するのが一般的です。給湯器が壊れた場合は、まず大家さんまたは管理会社に相談しましょう。

契約書に修繕の義務が明記されているにも関わらず費用で揉めそうな場合には、消費者センターや信頼できる弁護士さんに相談をしてみてください。

賃貸物件で給湯器交換にかかる日数

賃貸物件の給湯器交換は、問い合わせから約一週間の時間がかかります。また土日や祝日をはさみ、大家さんや管理会社に連絡が取れない場合には、13日前後の時間がかかります。

賃貸物件の給湯器交換や修理で注意すべきこと

賃貸物件で給湯器が壊れたら、修理や交換について以下の点に注意してください。

入居者が業者に交換・修理を直接手配はNG

給湯器など賃貸物件の設備が故障した場合は、原則として物件の所有者に連絡をします。ただし、管理会社が物件の管理を行っている場合には、大家さんではなく管理会社に直接連絡を取ってください。

大家や管理会社に連絡するのはなぜか?

賃貸物件の設備は、大家さんや管理会社の財産であるため、勝手に修理や交換をすることはトラブルの原因となります。

ただし、緊急時の修理は民法改正によりOKな場合も

2020年4月1日施行された改正民法には、新たに以下の条文が盛り込まれました。

民法第606条(賃貸人による修繕等)

2. 賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない。

この条項によって「一部自らの判断で業者を雇って修理ができる」ことが明らかとなりました。

例えば、給湯器やエアコンが故障し生活に支障を来すなど急を要する場合には、入居者の判断で修繕を行っても良いという法律が盛り込まれたのです。

とはいえ日中であれば、所有者である大家さんや管理会社に連絡をすることを優先し、真夜中や早朝、土日祝日に急を要する場合については、常識的な範囲で修理や修繕を業者に依頼しても法的には認められているのを覚えておきましょう。

残置物が故障した場合の費用負担

もともと物件に給湯設備がなく、初期設備に給湯器が含まれていなかった場合には注意が必要です。

例えば、今ある給湯器が前の入居者の持ち物であり、設置したまま残された機器だったとしたら。これは大家さんの所有者では無く残置物として扱われます。

つまり初期設備では無く、前の入居者の持ち物の場合、給湯器が故障をしても大家さんや管理会社が費用を負担してくれない可能性が高いです。

初期設備かどうかは、契約時に交付される重要事項説明書に記載されています。給湯器やエアコン、室内の機器等が壊れたら誰が所有者なのかを確認し、契約書の内容に従って修理を依頼しましょう。

給湯器の交換・修理を依頼相談する前に確認

修理業者に依頼する場合、電話でのやり取りになります。まずは、給湯器のメーカーや品番などをメモし、手続きがスムーズに進められるよう必要な準備をしましょう。

給湯器の種類

給湯器の種類をメモしておきます。燃料だけとってもガス式や石油式、電気式、エコキュート燃料など給湯器にはさまざまな種類があります。あわせて、給湯器の機能やメーカー、型番も控えておいてください。

給湯器故障の詳細

給湯器がどのように故障しているのか、故障の状況や故障し始めた時期、エラーコードが出ていたら番号をメモしておきましょう。

ガス漏れ、ガスや電気は止まっていないか

給湯器以外のガス漏れ、ガスや電気は止まっていないか周囲の状況も確認してください。また、給湯器の故障ではなく落雷や停電が原因で止まっていないでしょうか。

落雷の場合は以下の方法で復旧を試してみましょう。

号数を上げる、機能の追加は相談が必要

給湯器を修繕するのなら今よりも最新の機器、上位機種に交換したいと考える方も多いでしょう。しかしマンションやアパートなど、賃貸物件の設備は大家さんの財産であり所有物です。

そのため給湯器の号数を上げたり、機能を追加するなどのリクエストには所有者である大家さん、または管理会社に相談する必要があります。

賃貸物件の給湯器寿命は8~10年

賃貸物件・所有物件の区別無く、給湯器には寿命があります。給湯器の使用環境にもよりますが、平均8年から10年で寿命がきます。

給湯器の定期点検

給湯器や湯沸かし器などの家電は、安全に使用できるよう「長期使用製品安全点検制度」に基づき法点検が実施されます。

法定点検とは、物件の所有者とメーカーの双方の責務で行われる点検のことで、所有者とメーカーがそれぞれ家電の事故を防ぐための点検と保守責務を負います。

参考リンク:長期使用製品安全点検・表示制度(経済産業省)

法定点検の時期は、給湯器本体のシール部分に印字されています。点検時期が近づいたら、大家さんまたは管理会社に連絡をしましょう。所有者が点検を依頼すれば、後日メーカーから連絡が入り、法定点検が実施されます。

給湯器はこまめなメンテナンスが必要

給湯器の寿命は、こまめなメンテナンスによって長持ちします。前項で紹介した法定点検以外にも、排気口や外装に破損が無いか目視をするだけでも効果はあります。

また給湯器の使用中に異音や異臭しないか、温度は安定しているか、水漏れやガスの不具合なども細かくチェックしておきましょう。

エラーコードが頻繁に出るようでは安定して使えているとは言えません。異変に気づくのが早ければ、交換ではなく修理で直せる可能性が高くなります。

また少しでも給湯器の動作がおかしいなと感じたら、大家さんや管理会社に相談をしてください。定期的にメンテナンスを受けるだけでも給湯器の寿命は長くなります。

下の記事では、給湯器の発している故障のサインについて解説しています。

賃貸物件の老朽化、古い給湯器の交換方法

マンションやアパートの築年数が古く給湯器の老朽化が気になる、古い給湯器なので交換して欲しいという場合は、大家さんまたは管理会社に相談してみてください。

交渉によっては、給湯器を新しいものに交換してくれる場合もあります。また給湯器の動作が安定しないといった場合には、貸主側の負担で給湯器を修理・交換してもらえます。

賃貸の給湯器交換・修理でよくある質問

賃貸の給湯器交換や修理について、よくある質問を紹介します。

  1. 給湯器の修繕には自己負担が必要と言われました。
  2. 給湯器が急に壊れましたが、オーナーと連絡がつきません…
  3. 賃貸物件に給湯器がありませんでした。契約はどこに?
  4. アパートが老朽化しています。古い給湯器は交換できますか?
  5. 借主の過失と言われました。給湯器に損害保険は使えますか?

給湯器の修繕には自己負担が必要と言われました。

賃貸契約書に特約などが無く、修繕義務が書かれていれば、設備の修繕費用は貸主である大家さんの負担になります。

ただ賃貸契約書に修繕について書かれていない、特約に「貸主が修繕の義務を負わない」と書かれていた場合には、自己負担で給湯器を修繕または交換する必要があります。

給湯器が急に壊れましたが、オーナーと連絡がつきません…

給湯器が真夜中や早朝に壊れた、大家さんが電話に出ない、管理会社がお休みで連絡が取れないという場合には、長期間給湯器が使えない状態が続きます。

給湯器以外にもエアコン、空調をはじめ長期間使えない場合には、熱中症や体調不良などが心配です。民法改正606条には、急迫の事情があるときや「賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき」には、借主の判断で修繕を行っても良いとしています。

物件の所有者に電話をするのは大前提として、早急な修繕を必要とするなどやむを得ない場合には工事業者へ依頼しましょう。

賃貸物件に給湯器がありませんでした。契約はどこに?

珍しいケースですが、物件によっては給湯器やガスコンロが無い場合もあります。借りた部屋に給湯器が無い場合、大家さんまたは管理会社に連絡をして、給湯器を設置して良いか相談しましょう。

アパートが老朽化しています。古い給湯器は交換できますか?

アパートに備え付けの設備が古く、給湯器の調子が安定しない、故障のサインが出ているという場合は、早急に大家さんまたは管理会社に連絡をして、給湯器の交換をお願いしましょう。

賃貸物件の初期設備に給湯器が含まれており、給湯器が大家さんの所有物であれば、修繕の義務によって修理・交換してもらえます。

借主の過失と言われました。給湯器に損害保険は使えますか?

給湯器が貸主である大家さんの所有物の場合、原則として賃貸で借りている物や設備には、損害補償は使えません。

ただし、給湯器を故意に壊したのか故障の原因が何なのかで、保険が使えるかどうかはケースバイケースです。

例えば火災保険で家財が補償されるプランに加入しており、台風や火災など自然災害によって給湯器など室内の設備が壊れた場合、貸主に直接の責任がなければ保険でカバーできる場合もあります。

加入している保険があれば、賃貸物件も対象なのかどこまで保障されるのか、契約内容を確認しておきましょう。

参考リンク:原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版) – 国土交通省

まとめ

賃貸物件の給湯器は、入居者の所有物ではありません。部屋を貸しているオーナーである大家さんの持ち物なので、無断で給湯器の修理や交換をするのは原則としてNGです。

ただし2020年4月の民法改正によって、急を要する場合については給湯器やエアコンなどの設備は借主の判断で修繕できるようになりました。

また長期間連絡が付かない場合も、改正民法606条1項の2によって入居者の権利が認められています。

賃貸の給湯器交換は大家・管理会社に相談

賃貸の給湯器交換は、まず大家・管理会社に相談しましょう。どうしても連絡が取れず早急な修繕がなければ、大きな問題につながりそうな場合やガス漏れや水漏れなどの緊急時には、常識的な範囲内で必要な修理・修繕を依頼しましょう。

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