給湯器の安全弁とは?逃がし弁や減圧弁の違いを分かりやすく解説

給湯器の安全弁とは?逃がし弁や減圧弁の違いを分かりやすく解説

給湯器の安全弁は、給湯器内の圧力が異常高圧になるのを防ぐ役割があります。

給湯器の安全弁は圧力を調整するほか、常に100℃近いお湯が流れ続けるなど、過酷な環境を強いられるため、故障が多い部品のひとつです。このため、給湯器を安全に使用するには、定期的に安全弁をメンテナンスする必要があります。

安全弁は給湯器に内蔵されているものや、給湯器の外側に付属しているものがあります。今お使いの給湯器を確認し、安全弁が正常に作動するかどうかチェックしましょう。

この記事では、安全弁の仕組みから、給湯器の逃がし弁や減圧弁の違い、給湯器安全弁の修理費用について詳しく解説します。

給湯器の安全弁、逃がし弁、減圧弁の違いと役割

給湯器の安全弁は、給湯器内の圧力を下げる安全装置です。給湯器内の圧力が上昇すると安全弁が作動し、タンク外にお湯を排出。圧力が上がりすぎるのを防いでくれます。

安全弁と逃がし弁は同じ

安全弁と逃がし弁は、内部の圧力を外に逃がすという点では同じですが、厳密にはそれぞれに違いがあります。安全弁は上記や気体を外に逃がすのに対し、逃がし弁は主に液体を逃すのに使われます。

ただ多くのメーカーは、「安全弁=逃がし弁」として区別していません。このためカタログを見ても、すべての安全弁を「逃がし弁」と表記するメーカーもあります。

給湯器内部にはこのほか、減圧弁と呼ばれる部品があります。減圧弁は、異なる給水圧力を一定に保つための制御弁として機能しており、安全弁同様、給湯器内やタンク内の圧力を下げる重要な役割を担っています。

給湯器に安全弁が必要な理由

液体は温度が上がると、体積が膨張する性質があります。このため、密閉されたタンク内でそのままにしておくと内部の圧力が上がりすぎてしまい、タンク破損の原因になります。

爆発などの危険を避けるため、内部の圧力を一定に保つのが安全弁の役目です。

減圧弁を使うことで、給湯器やタンク内の圧力は0.1MPa以下に保たれます。また加熱によって水温が上昇すると体積は膨張しますが、逃がし弁を使って膨張した水をタンクから排出すると、タンクの内の圧力は0.1MPa以下に調整されます。

安全弁(逃がし弁)の役割

逃がし弁

画像:安全弁(逃がし弁)

安全弁(逃がし弁)は、タンク内部や配管を異常な昇圧から守る目的で取り付けられています。

あらかじめ設定された圧力(0.1MPa)を超えると、弁が開いて水をタンク外に排出されます。またタンク内で膨張した水を排出すると弁体を再び閉じて内圧を下げ、水の放出が止まる仕組みです。

減圧弁の役割

減圧弁

画像:減圧弁

減圧弁は、給湯器内やタンク内の圧力を下げることだけではなく、給水圧力を一定圧力に維持するなど、負荷変動による流量も制御します。

給湯器の給水圧力を一定に保ちますが、減圧弁に問題があると圧力が高くなり過ぎてしまい、内部の排水がうまくいかず、水が漏れてしまうことがあります。

なお、減圧弁には給湯器内の圧力を一定に保つ役割にほか、ゴミの流入を防ぐ役割や逆流の防止、凍結を防止する等の役目があります。

ゴミの流入を防ぐ

減圧弁の一次側入り口には、ゴミの流入を防ぐメッシュタイプのストレーナーが内蔵されており、配管内のゴミや錆の流入を防いでくれます。

給湯器からの逆流を防ぐ

減圧弁の一次側入り口には、給湯器からの逆流を防ぐ逆止弁が内蔵されており、給湯器からの逆流を防ぎます。

凍結防止機能

寒さの厳しい時期や寒冷地などの給湯器は、気温の変動によって、配管内やタンク内が凍ることがあります。特に寒冷地では、一晩使わないだけでも機器が凍結して水や湯の出ないことが多いです。

このため、給湯器には寒冷地仕様のものがあり、減圧弁も寒冷地独自の仕様になっています。

寒冷地仕様の減圧弁は、内部には水抜き栓が内蔵されています。減圧弁の中の水を外に出すことで、配管や給湯器内が凍結するのを防ぐ仕組みです。

給湯器の安全弁をイラストで分かりやすく解説

給湯器の安全弁の場所は、給湯器の種類や設置タイプによって異なります。本項では外付け型の給湯器を例に、逃がし弁と減圧弁、排水栓の仕組みを解説します。

下のイラストのように給水栓を通って水が流れ、給湯器やタンク内の圧力を調整しながらお湯を沸かしているのが分かります。

給湯器安全弁の仕組み

給湯器各部品の名称と、それぞれの役割をまとめてみました。

給湯器安全弁の各部品

本体(漏電)ブレーカー 漏電を検知すると自動的に電気の流れを遮断し、事故を防ぐ。
ホッパー 膨張水を排水管に排出するための部品。
排水栓 タンク内の水抜きや、メンテナンス時の排水に使用するバルブ。
逃がし弁 給湯で発生する、膨張水を排出する機能。
減圧弁 水道水の圧力を給湯器の使用に適した圧力に下げる機能。
給水栓 給湯器の給水を開始・停止するためのバルブ。

給湯器には、水道直圧式と減圧式の二種類があります。

水道直圧式は、水圧をそのまま利用してお湯が供給できる給湯器のことです。水道直圧式の給湯器であれば、減圧弁の取付は必要ありません。

一方の直結式とは、減圧弁を用いて給水の圧力を下げる給湯器のことです。直圧式に比べて給湯圧力は低く、安全弁と減圧弁が使われています。

現在お使いの給湯器がどの圧式なのか確認し、基本的には「同じ圧式の給湯器」を選んでください。

給湯器・温水器の安全弁の場所

給湯器・温水器の安全弁の場所ですが、メーカーや機器ごとに配置されている場所は異なります。下の図はコロナ直圧式給湯器の図ですが、赤枠で囲った部分に逃がし弁があります。

給湯器・温水器の安全弁の場所

画像出典元:石油給湯機|CORONA製品情報サイト

また、壁掛型や据置型など、設置タイプごとに各パーツの位置は異なります。今お使いの給湯器の説明書をみて、どこに安全弁や給水栓、水抜き栓があるのか確認しましょう。

なお、説明書を無くした場合は、給湯器メーカーの公式サイトで説明書のPDFファイルがダウンロードできます。またメーカーによっては、紙の説明書も有料販売しているので取り寄せも可能です。

エコジョーズ(ガス給湯器)の安全弁

下の画像は、戸建てに設置されたエコジョーズ(ガス給湯器)です。エコジョーズも機器ごとに異なりますが、赤枠で囲った左上の細長い部分が、逃がし弁の操作パネルを示しています。

エコジョーズ(ガス給湯器)の安全弁

パネルを開くと逃がし弁のレバーがあります。メンテナンスでは逃がし弁のレバーを上げて、正常に排水ができるかどうか確認してください。

なお、エコジョーズを安全に長く使うには、年に2回〜3回の定期点検がおすすめです。

エコキュート(電気温水器)の安全弁

CORONAのエコキュートを例に、安全弁の位置を紹介します。下の機器では、貯湯ユニットの上部に「逃がし弁操作カバー」があり、ここから逃がし弁の操作が行えます。

エコキュート(電気温水器)の安全弁

画像出典元:給湯設備|エコキュート(CORONA)Panasonic公式サイト

逃がし弁、止水栓、取水栓のレバーを操作し、正常に動くか定期的にメンテナンスしてください。早めに点検することで、給湯器の完全な故障が防げます。

メンテナンスのタイミングは、年に2〜3回でOKです。お湯が出ないなど、大きな故障をする前に給湯器に異変がないか確認しましょう。

給湯器の安全弁を交換する際の注意点

給湯器の安全弁や減圧弁は内圧の調整によって、消耗しやすい部品のひとつであり、お湯が出ない場合や貯水タンクが動かないときには、安全弁や減圧弁が故障している可能性が高くなります。

減圧弁の不具合は漏水を招く

給湯器が水漏れする原因の多くは、ゴムの経年劣化、減圧弁や安全弁など、内部金属の経年劣化などが考えられます。

水漏れを放っておくと、給湯器内部で不完全燃焼が起こり、一酸化炭素中毒になる恐れも。また集合住宅の場合、水漏れで隣室や階下とトラブルになる可能性もあり、早めの対処が必要です。

圧力の不具合は爆発に至ることも

減圧弁が正常に働かず、庫内の圧力が急上昇すると安全弁が作動したままとなり、給湯器から水漏れが発生しやすくなります。

また、安全弁が正常に機能しないまま使うと、最悪の場合爆発に至る可能性も。

同様の事故は全国で発生しており、爆発から火災につながった例もあり大変危険です。重大な事故が起こる前に、給湯器のメンテナンスや点検は、定期的に受けるようにしましょう。

参考資料:電気温水器爆発事故について(一般社団法人 消防防災科学センター)

給湯器は特定保守製品のひとつ

石油給湯器や石油風呂釜は、消費生活用製品安全法によって「特定保守製品」に指定されています。

消費生活用製品安全法とは?

消費生活用製品による一般消費者の生命又は身体に対する危害の防止を図るため、特定製品の製造及び販売を規制するとともに、特定保守製品の適切な保守を促進し、併せて製品事故に関する情報の収集及び提供等の措置を講じ、もって一般消費者の利益を保護することを目的としています。(法第1条)

出典元:消費生活用製品安全法(経済産業省)

消費生活用製品安全法は、製品の経年劣化による事故を防ぐために定められた法律であり、各製品に省令で定める技術基準に適合している「PSCマーク」を付すことを条件として、製品の販売が認められています。

pscマーク

画像:消費生活用品安全法(経済産業省|関東経済産業局)

法令では、給湯器などのタンク内圧力は「0.1MPa」以下に保つよう法律によって定められていますが、先に紹介した安全弁や逃がし弁、減圧弁などが圧力を調整するのに役立ちます。

貯湯湯沸器

貯湯湯沸器とは、貯湯槽に貯えた水を加熱する構造の湯沸器であって、貯湯部が密閉された構造のものをいい、熱源の種類は問わない。この貯湯湯沸器については、減圧弁、逃し弁等を設置して貯湯部に加わる水圧を水頭圧10m以下又は0.1MPa以下に保つ措置を講じていることから、これに安全率を見込んで0.3 MPaを試験水圧として採用した。

出典元:給水管及び給水用具の性能基準の解説(厚生労働省給水装置データベース)

以前は、石油給湯器と石油風呂釜のほかにも、ガス瞬間湯沸器、屋内式ガス風呂釜、浴室電気乾燥機、ビルトイン式電気食洗機、FF式石油温風暖房機などの製品が、特定保守製品に指定されていました。

しかし、各製品の技術基準強化や経年劣化対策が認められ、2021年7月20日の閣議決定後は、石油給湯器と石油風呂釜を除く7製品が、特定保守製品のリストから外されています。

参考サイト:給水装置の構造及び材質の基準に関する省令(厚生労働省)

なお、特定保守製品の指定を受けている給湯器は、安全対策の観点から、適切な時期に各メーカー等の点検を受けるよう推奨されています。

参考サイト:消費生活用製品安全法施行令の一部を改正する政令が閣議決定されました(経済産業省)

給湯器安全弁の正しい交換方法

給湯器毎に必要とする圧力は異なります。このため、使用する安全弁は、給湯器の仕様に合うものを選んでください。

安全弁と減圧弁は一緒に交換

安全弁と減圧弁は、常に圧力や熱湯によって負荷のかかりやすい部分です。また、減圧弁は最大750kPaの圧力を80kPaにまで下げるため、常に厳しい環境にさらされています。

安全弁と減圧弁の劣化は連動しており、それぞれの寿命が近い可能性があります。このため、安全弁を交換する際には、減圧弁もあわせて交換しましょう。

設定圧力を給湯器の使用に合わせる

多くの給湯器には、以下の圧力が設定されています。

  • 減圧弁:80kPa
  • 安全弁:95kPa

必要な圧力は、給湯器の仕様によって異なります。給湯器を修理・交換する際には、圧力設定が合う機器を選んでください。

給湯器の設定圧力は「減圧弁<安全弁」になるよう設定します。減圧弁よりも、安全弁の設定圧力を高くすることで、安全弁が正常に働き、給湯器外に水が漏れるのを防いでくれます。

給湯器安全弁の交換費用

給湯器安全弁・減圧弁の交換費用は修理業者ごとに異なります。安全弁と減圧弁の部品代が約10,000円、これに作業料と出張料をプラスして、平均25,000円〜30,000円が相場です。

なお、給湯器に減圧弁と安全弁が内蔵されており、給湯器本体の劣化が激しい場合は、修理ではなく交換が必要です。

給湯器安全弁の交換にかかる日数

給湯器の安全弁や減圧弁を交換するだけならば、数時間で工事は完了します。

ただし部品を取り寄せる場合や、メーカーの部品供給がなく修理できない場合には、給湯器を交換する必要があり、1週間前後の時間がかかります。

給湯器の安全弁に関するよくある質問

  1. 給湯器の安全弁は、どこで交換してもらえますか?
  2. リンナイ給湯器の減圧弁はどこにありますか?
  3. ノーリツ給湯器の安全弁取り替え費用はいくらですか?
  4. 安全弁の不具合を事前に確認する方法を教えてください
  5. 給湯器の安全弁の寿命はどれくらいですか?
  6. 給湯器の安全弁は、どこでメンテナンスできますか?

給湯器の安全弁は、どこで交換してもらえますか?

給湯器の安全弁は、給湯器メーカーやガス会社、給湯器専門業者、給湯器や水道トラブルの工事業者などに交換依頼できます。

リンナイ給湯器の減圧弁はどこにありますか?

同じリンナイ給湯器でも、機器やシリーズによって減圧弁の位置は異なります。お使いのリンナイ給湯器内の説明書を開いて、どこに減圧弁があるのか確かめてください。

参考までにリンナイのエコジョーズでは、逃がし弁は小型タンクの上部に、減圧弁はタンクユニットの下部に設置されています(下の画像を参照)。

給湯器の機能部品

ノーリツ給湯器の安全弁取り替え費用はいくらですか?

ノーリツ給湯器の安全弁・減圧弁の取替費用は、他のメーカーとおなじく、部品代と工事費用を合わせて約25,000円〜30,000円が相場です。

安全弁の不具合を事前に確認する方法を教えてください

給湯器のパネルを開いて安全弁を動かし、排水が正常にされれば正常に作動しています。このほかにも、給湯器に異常がないかどうか。以下の6点を、定期的に確認しておきましょう。

給湯器の安全性チェック

  • ガス漏れ、水漏れはないか
  • バーナーの炎は小さくなっていないか
  • 使用中の炎は正常化どうか
  • 排気筒に破損はないかどうか
  • 安全弁や減圧弁、各種つまみが硬くなっていないかどうか
  • 給湯器から異音はしないか

このほか給湯器のメーカーまたは販売店、給湯器設置業者にメンテナンスを依頼しましょう。2年に1回、または使用頻度が高ければ、1年に2回のペースで定期点検を受けておくと安心です。

また5年以上使用していない給湯器があれば、安全に使えるかどうか、必ず点検を受けるようにしましょう。

給湯器の安全弁の寿命はどれくらいですか?

給湯器の安全弁・減圧弁の寿命は、平均5年〜7年程度です。また使用頻度が高ければ、その分パーツの寿命は短くなります。給湯器本体の寿命は約10年あるので、短命にならないよう2年に1回または、1年に1〜2回のペースで定期点検を受けてください。

給湯器の安全弁は、どこでメンテナンスできますか?

給湯器の安全弁・減圧弁のメンテナンスは、給湯器メーカーやガス会社、給湯器専門業者、給湯器や水道トラブルの工事業者で受け付けています。

ただし、マンションやアパートなどの賃貸物件は、大家さんや管理会社への相談が必要です。給湯器などの基本設備は、物件オーナーの所有物なので勝手に設備を修理・交換するのはNGだからです。

あらかじめ決められた時期に、指定されたメーカーでメンテナンスを受けるよう、すでにスケジュールが組まれていることも多いですが、給湯器のメンテナンスや修理や交換は、大家さんまたは物件の管理会社に相談してください。

まとめ

給湯器の安全弁は減圧弁とセットで、給湯器が安全に使えるよう、安全装置として作動しています。給湯器内の圧力を一定に保つほか、膨張した水をタンクから排出する役目があります。

これらのパーツは消耗しやすいため、正常に作動をするか自身で確認をするほか、業者に定期的なメンテナンスをお願いするようにしましょう。

こまめにメンテナンスを行えば、給湯器が長く安全に使用できます。給湯器は高価な機器なので、完全に壊れる前に異音や異臭、水漏れ等があれば、すぐに業者に給湯器の修理や交換を依頼してください。

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