給湯器の寿命は?耐用年数と交換時期の目安を解説
給湯器は毎日使うものですが、いつまで使えるのでしょうか?給湯器にも寿命があり、適切なタイミングで交換しないと故障や事故の原因になる可能性があります。
おおまかな給湯器の寿命ですが、平均で10年前後とされており、寒冷地など過酷な環境下においては更に短くなるケースも多いです。
どんなに丁寧に使用しても10年間程度が寿命の目安になり、長く使うほど経年劣化によって給湯器の部品や基盤などが壊れやすくなってしまいます。
この記事では、給湯器の寿命・耐用年数、給湯器の寿命を示唆するサイン、交換時期の目安などについて紹介します。ある日突然壊れてしまって困ることがないよう、余裕を持って寿命が来る前に交換しましょう。
給湯器の寿命・耐用年数は購入からどれくらい?
給湯器は毎日の生活に欠かせない設備ですが、いつまで使えるのでしょうか?
給湯器の寿命・耐用年数(設計標準使用期間)は約10年
給湯器の寿命・耐用年数(設計標準使用期間)は、種類や使用状況によって異なりますが、一般的には約10年前後と言われています。もちろん、10年以下で故障することもありますし、20年近く持つケースもあり、必ずしも10年と決まっているわけではありません。
それでも給湯器の寿命が約10年といわれるのは、各メーカーがそのように設定しているからです。使い始めて10年ほどが経過するとリモコンに「888」または「88」という、点検や交換時期を知らせるエラーコードが表示されます。
設計標準使用期間とは
設計標準使用期間とは、標準的な使用方法で安全上の問題なく使える期間を指します。家庭用では10年、業務用ガス給湯器は3年で定められている。
寿命が近いことを知らせるエラーコード「888(88)」
エラーコード「88」「888」は、「今後、いつトラブルが出てもおかしくありません。早めに点検、交換してください」というサインになります。つまり、多くのメーカーで給湯器は約10年で使えなくなるかもしれない=寿命は約10年という設定で製造されているのです。
給湯器の寿命目安を過ぎると、故障や事故のリスクが高まりますので、交換時期を見逃さないようにしましょう。以下では、給湯器の種類ごとに寿命・耐用年数の目安と交換時期を解説します。
ガス給湯器、石油給湯器の寿命・耐用年数の目安
ガス給湯器や石油給湯器は、燃焼することでお湯を沸かすタイプの給湯器です。このタイプの給湯器は、高温や高圧にさらされる部品が多く、劣化しやすいです。そのため、寿命・耐用年数は比較的短くなります。
ガス給湯器、石油給湯器の寿命と耐用年数の目安
種類 | 寿命・耐用年数 |
---|---|
ガス給湯器 | 約10年 |
石油給湯器 | 約8~10年 |
基本的にガス給湯器や石油給湯器は、購入から10年以内に交換することをおすすめします。もしも定期的にお湯の温度が不安定になるなどの異常があれば、早めに点検や修理を依頼しましょう。
電気給湯器の寿命・耐用年数の目安
電気温水器(電熱ヒーター)やエコキュート(ヒートポンプ式)などは、電気で水を温めてお湯にするタイプです。このタイプでは、高温や高圧にさらされる部品が少なく、劣化しにくいため長持ちします。ただし、導入にかかる費用は一般的なガス給湯器よりも高額になります。
種類 | 寿命・耐用年数 |
---|---|
電気温水器(電熱ヒーター) | 約10~15年 |
エコキュート(ヒートポンプ式) | 約10~15年 |
電気温水器やエコキュートは、購入から15年以上使える可能性があります。ただし、電気温水器は故障のリスクが高まりますし、エコキュートは効率が低下して光熱費が増える可能性があります。そのため、定期的に点検を受けたり、使用年数次第では交換したりすることをおすすめします。
全国対応*の給湯器交換修理業者に相談を
複数業者へ依頼フォームから同条件にて相見積もりをすることで、費用面の高い安いはもちろん、最短でいつまでに工事対応が可能なのか等が分かるため、希望条件で依頼しやすくなります。なお、無料で見積もりを行える上、優良業者なので押し付けがましい営業はされず安心です。
- 街角給湯相談所
┗給湯器・エコキュートなど対応可能、他社見積もり提示で値下げ【PR】 - キンライサー
┗従来型給湯器・エコジョーズなど対応可能【PR】 - ミズテック(給湯器駆けつけ隊)
┗ガス給湯器・エコキュート・電気温水器・エコジョーズなど対応可能【PR】
給湯器の寿命を示唆するサイン
給湯器の寿命を示唆するサインには、次のような症状があります。
- 寿命を知らせるエラーコードが表示される
- 排気口などから黒い煙が出ている
- 給湯器からガス臭などの異臭がする
- 給湯器を使用すると異音がする
- 一見して分かるほど酷く錆びついている
- 給湯温度が不安定になる
- お湯が出ない、または出る量が少ない
- お湯張りはできるが追い焚きができない
給湯器の寿命は一般的に10年前後と言われています。寿命が近づくと、給湯器の処理性能が大幅に低下したり、故障や事故のリスクが高まります。そのため、給湯器の状態に注意して、適切なタイミングで交換することが大切です。
給湯器の寿命を知らせるエラーコードが表示される
給湯器には、自己診断機能が備わっているものが多くあります。給湯器では異常を検知すると、リモコンにエラーコードを表示して内容を知らせてくれます。
エラーコードは給湯器の種類やメーカーによって異なりますが、寿命を知らせるものには「888(88)」や「990」などがあります。
「888(88)」は点検時期のお知らせとなっており、使用開始してから約10年相当の稼働で表示されます。表示された時点で問題や故障はなく、エラーコードが表示されても給湯自体は可能です。「990」は、何らかの理由で安全のために給湯機器が運転停止した場合に表示されます。
自身で対処できない内容のエラーコードが表示された場合は、すぐに給湯器メーカーに連絡しましょう。点検や修理、交換などの必要性や方法を教えてもらえます。
排気口などから黒い煙が出ている
給湯器は、ガスや電気などのエネルギーを使ってお湯を沸かします。その際に発生する排気ガスは、排気口から外部に排出されます。状況にもよりますが、白い煙などになることもあります。
一方、排気口から黒い煙が出ている場合は、燃焼不良や排気管の詰まりなどで不完全燃焼が発生している可能性があります。火災や爆発、一酸化炭素中毒事故などの危険性を伴います。
黒い煙を見つけた場合は、不完全燃焼で人体に有害な一酸化炭素が発生するため、すぐに給湯器メーカーや給湯器業者などに連絡してください。また、窓やドアを開けて換気することも忘れずに行いましょう。
給湯器からガス臭などの異臭がする
給湯器から異臭がする場合は、ガス漏れや不完全燃焼などの可能性があります。特に、焦げ臭いような異臭がした場合は、不完全燃焼や着火の可能性があるので危険な状態です。
不完全燃焼は、給湯器内に溜まったゴミやホコリが原因であることが多いです。放置して継続して使用すると、一酸化炭素中毒や爆発、火災などの重大な事故につながる恐れがあります。
給湯器から発生する可能性があるガス臭以外の異臭には、以下のようなものがあります。
- 生臭い
- 焦げ臭い
- 酸っぱい
- ニンニク臭
危険性がある焦げ臭い異臭を感じた場合は、すぐに給湯器メーカーや給湯器業者などに連絡しましょう。また、火気や電源を切って安全確保することも重要です。
給湯器を使用すると異音がする
給湯器を使用するときに異音がする場合は、部品の劣化や故障などが発生している可能性があります。
例えば、「グワン」「ウーン」「キュルキュル」というような音は、給湯器内部の循環ポンプが稼働している正常な作動音です。
一方、給湯器の使用中に「ポンッ」「ボンッ」などの小さな爆発音がする場合は、不完全燃焼やガス漏れが発生している可能性があります。使用を続けると、一酸化炭素中毒や爆発の原因になるため、直ちに使用を中止してください。
以下のような異音は、放置しておくと一酸化炭素中毒や事故の原因になります。
- ボンッ音
- キーン音、カーン音、ドン音、ガン音
- ピー音、ピーピー音、ヒュー音
- ゴーッ音
- ポコンポコン音
自身で対処できることは少ないため、基本的には給湯器メーカーや給湯器業者などに点検や清掃を依頼しましょう。また、定期的にメンテナンスを行うこともおすすめです。
一見して分かるほど酷く錆びついている
給湯器は、内外ともに金属製の部品で構成されています。そのため、水や空気と反応して錆びてしまうことがあります。特に外部に露出した部分や排気口周辺は錆びやすく、注意が必要です。
腐食して錆びた部分から水漏れしたり、短絡して故障する恐れがあります。配管カバーなどをせず、外に給湯器を置いていると起こりやすく、表面が錆びついていると本体内部も錆びている可能性があります。内部の部品が錆びついてしまうと水漏れや故障に繋がります。
あまりにも給湯器の錆びが酷い状況になっている場合は、給湯器メーカーや給湯器業者に連絡しましょう。状況次第では、給湯器本体の交換を検討する必要があるかもしれません。
給湯温度が不安定になる
給湯温度が不安定になる場合は、給湯器の制御系の故障や水圧の変動などの可能性があります。
例えば、「お湯が冷たくなったり熱くなったりする」「お風呂に入っているときにお湯の温度が変わる」などの症状です。
温度が不安定になるのは、主に冷水サンドイッチ現象などがありますが、高音になる不具合が発生した場合は火傷などの危険性も考えられるので注意が必要です。
給湯温度が不安定になった場合は、給湯器メーカーや給湯器業者に連絡して点検や修理を依頼しましょう。
お湯が出ない、または出る量が少ない
お湯が出ない、または出る量が少ない場合は、給水管の詰まりや凍結、水圧の低下やガスの供給が正しく行われていないなどの可能性があります。
例えば、「冬場にお風呂場から水しか出てこない」「シャワーからほとんど水しか出てこない」などの症状です。
お湯が出ない、または出る量が少ない場合は、給水管の詰まりや凍結を確認してください。また、過流量などが原因でガスメーターが遮断されていないか確認してください。なんらかの理由でガスの供給が止まっていると、給湯することができません。
また、ガスの供給が正しく行われていない可能性が高い場合は、ガス会社に連絡して対応してもらいましょう。それでも改善しない場合は、給湯器メーカーや給湯器業者に連絡して点検や修理を依頼しましょう。
お湯張りはできるが追い焚きができない
お湯張りはできるが追い焚きができない場合は、追い焚き機能に関する箇所の故障やリモコンの設定ミスなどの可能性があります。
例えば、「追い焚きボタンを押しても反応しない」「追い焚き中にエラーコードが表示される」などの症状です。
追い焚きができない場合は、まずリモコン設定やエラーコードが表示されていないかを確認しましょう。改善しない場合は、給湯器メーカーや給湯器業者に連絡して点検や修理を依頼しましょう。
給湯器の寿命を長持ちさせるためのコツ
給湯器の寿命を長持ちさせるためのコツとしては、定期的にメンテナンスをしたり、給湯器の点検をこまめに受けることです。
給湯器本体の掃除
簡単にできることとしては、給湯器本体を掃除することです。例えばガス給湯器の場合、本体(外装)のメンテナンスも必要ですが、外側の見える部分もゴミなどが溜まらないようにしましょう。
特に給湯器の吹気口などに汚れやほこりが溜まっていると、換気不良などの原因となって不完全燃焼が起こりやすく、結果として給湯器の寿命を縮めることになります。
ガス給湯器本体の掃除
ガス給湯器の外側の汚れは、湿らせた布でふき取った後、水気をふき取ってください。汚れがひどい場合は中性洗剤を使用してください。
リモコンの掃除
リモコンが汚れた場合は、少し湿らせた布で拭いてください。また、故障の原因となるのでリモコンに水をかけないでください。
ドレンプラグ(水抜き栓)のストレーナーフィルターの掃除
ガス給湯器本体下のドレンプラグのストレーナー(フィルター)を掃除しないと、湯量が減るなどのトラブルが発生します。最近、お湯の量が減ったなと思ったらチェックしてみましょう。
掃除の方法ですが、ノーリツ社製品で給湯機器の水抜き栓のお手入れ方法を確認してみましょう。
- 水抜き栓から出る水(お湯)を受ける容器を準備する。
- 機器の給水元栓を閉める。
- 台所・洗面所などすべての給湯栓を開ける。
- 水抜き栓を左に回して外す。(※1※2)
- 水抜き栓を配管とつながっているバンドから外す。
- フィルター部分を歯ブラシなどで水洗いする。(※3)
- 元どおりに水抜き栓を取り付ける。
- すべての給湯栓を閉める。
- 給水元栓を開け水抜き栓の周囲に水漏れがないことを確認する。
※1.この時、水(お湯)が出るのでご注意ください。
※2.水抜き栓が固くて回らない場合は、コインなどを水抜き栓の切り欠きに差し込んで、回してみてください。
※3.水抜き栓からフィルターが外れた場合は、水抜き栓とフィルターの間のパッキンをなくさないようにご注意ください。
給湯器をこまめに清掃すると異音やサビ、摩耗の兆候を発見しやすくなります。
循環アダプターやパイプの清掃の重要性
給湯器以外にも、浴槽や循環アダプターの掃除もこまめに行ってください。
特に給湯器の耐用性を高めるには、自動お湯張り・追い焚き機能付きの浴槽の循環アダプターや追い焚き配管の清掃が重要になってきます。
実際に掃除を怠ってしまうと、浴槽の詰まりやバルブの固着、ポンプへの負荷が大きくなり部品の寿命や耐用性が平均よりも短くなる恐れがあります。
掃除を行うべき頻度
浴槽の循環アダプターは、可能であれば少なくとも週に1回フィルターを清掃、追い焚きに関わる部分の配管は1~2ヶ月に1回程度清掃をしましょう。
目視や自宅でのメンテナンスで追いつかない部分については、業者に定期的な点検を依頼して、機器が長く使えるようにしましょう。
出張費用は別になることがありますが、保証期間内であれば無料で点検やメンテナンス、壊れた部品の交換や修理に応じてくれる業者も多いです。
浴槽の循環アダプターのフィルター掃除方法
- 循環アダプターのフィルターを反時計まわりに回して外す。
- フィルターを古い歯ブラシ等でこすり洗いする。
- フィルターを循環アダプターにはめ込み、時計回りにまわして固定する。
給湯器の寿命から判断する交換時期の目安
- 設計標準使用期間が10年
- 10年超で経年劣化による故障や事故のリスクが高まる
- 修理部品の供給期限が10年
給湯器の交換時期は設置後10年が目安
給湯器の寿命は約10年と聞いても、自分には関係ないと思っている人もいるかもしれません。しかし「給湯器の寿命が約10年というのはあくまでも目安でしょう?この前の故障もすぐ治ったし、まだまだ使えるはず」というような油断は禁物です。
給湯器を10年以上使い続けるというのはリスクがあり、給湯器の交換時期も10年が目安なのは間違いありません。具体的には、以下のようなリスクが生じます。
10年超で経年劣化による故障や事故のリスクが高まる
一見調子良く作動している給湯器でも、設置から10年以上使用していると内部ではさまざまな経年劣化が起きています。寿命を過ぎて使用している給湯器は、故障や事故のリスクが非常に高い状態です。いつ壊れてもおかしくないといえるでしょう。
そのため、点検を受けずに給湯器の標準寿命を超えても使用し続けると、重大な事故につながる恐れがあります。実際、10年前後から急激に増加するというデータもあり、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)は、10年使用後に給湯器の点検を義務付けています。
参考リンク:経年劣化による事故を防ぐ「長期使用製品安全点検制度」 – NITE
修理部品の供給期限が10年
かえって修理費用が高額になる場合もある
修理部品の供給期限は、10年に設定されています。製造業者は、給湯器の生産が終了してから10年間スペアパーツを保管する義務があります。
同じ給湯器を10年を超えて長期間使用している場合、スペアパーツがなくなっていることも多々あります。修理対象の給湯器が生産中または生産終了後の場合、メーカーによる修理サポート期間は10年程度が想定されます。
一方、生産終了から10年以上経過している場合は、修理不能(部品の在庫がない、部品が製造終了)の可能性が高いです。この場合、給湯器全体を交換する必要があります。
給湯器を設置した時期がわからない場合
給湯器の寿命は約10年だとしても、いつ設置されたのか分からない、そもそも覚えていないというケースも多々あるでしょう。
もちろん、設置時期が建物の築年数と同じ場合もあります。しかし、もしかしたら途中で給湯器を交換している可能性も考えられます。自分で設置時期を確認する方法を知っておいて損はありません。以下で手順を確認しておきましょう。
製品本体で製造年月を確認できる
どの給湯器でもフロントパネルや側面に製品名と製品番号が記載されています。製品名と製品番号をメーカーに問い合わせれば、製造年月日を教えてもらえるでしょう。
製造年月日がわかれば、それがおおよその設置時期と考えて問題ありません。製品名・製品番号の詳しい記載場所については、各社ホームページを参照してください。
参考リンク:製品名・製造番号の確認方法(ノーリツ)
参考リンク:製品本体の表示について(リンナイ)
まとめ
今回は、給湯器の寿命や耐用年数、寿命を示唆する不具合のサイン、交換時期の判断目安などについて解説してきました。
給湯器の寿命・耐用年数(設計標準使用期間)は、機種や使用している状況によりますが、一般的には約10年前後です。給湯器の寿命を過ぎると、故障や事故のリスクが高まりますので、交換時期を見逃さないようにしましょう。
また、定期的に点検や清掃を行ったり、節水や節電を心がけたりすることで、給湯器の寿命を延ばすことも可能です。最新の機種は性能も高く省エネ効果もありますので、交換する際は検討してみてください。
寿命を示唆するような症状が出たり、給湯器の調子が何度も悪くるなるという場合、使用年数次第では修理よりも交換を検討の上、早めに給湯器業者などに相談しましょう。