給湯器の配管カバーとは?その役割や必要性などについて解説
給湯器の配管カバーは当たり前のように設置されることも多く、これまではとくに意識していなかった人も多いかもしれません。しかし、新築の家への新しい給湯器の設置、給湯器の交換などの必要に迫られると、あらためて「配管カバーって必要なの?」と、迷うものです。本記事では、給湯器の配管カバーにはどんな役割があるのか等、その必要性について解説しています。
給湯器の配管カバーとは?
たとえば、家の外壁に取り付けられた給湯器を見てみると、2つの箱が上下に重なったような形状をしています。この下の箱が配管カバーですが、いったいどのような役目を担っているのでしょうか。
給湯器の配管を隠す部品
配管カバーは文字通り、給湯器の配管を隠すための部品です。給湯器が壁掛け型なのか据え置き型なのかによって配管カバーのタイプも異なります。
壁掛け給湯器の配管カバー
壁掛け給湯器では本体の下から水、お湯、ガスなどの複数の配管が伸びています。これらの配管を覆うように給湯器本体の真下に取り付けられるボックスが配管カバーです。
据え置き給湯器の配管カバー
据え置き給湯器は地面、ブロックなどの上に設置され、給湯器の側面から各種配管が露出しています。これらの配管を隠すように給湯器本体の真横に設置されているのが配管カバーです。
配管カバーの役割
配管カバーの役割はおもに2つあります。ひとつは外観を良くするためもうひとつは配管の劣化を防ぐためです。
ただ、給湯器は目立たない場所に設置されることがほとんどなので、外観にそこまでこだわる必要もないかもしれません。また、配管カバーをつけても劣化を完全に防げるわけではないので「配管カバーって必要なの?」と、悩むのも当然のことといえるでしょう。
給湯器の配管カバー設置は必須ではない
配管カバーを設置するにはそれなりにコストもかかります。配管カバーをつけずにコストカットすることは可能なのでしょうか。
配管カバーはなくても給湯器は稼働する
給湯器のカタログ等でも配管カバーつきの製品が紹介されていることがほとんどなので、絶対に必要なパーツのように勘違いしがちです。しかし、じつは配管カバーがなくても給湯器は問題なく稼働します。
「どの家もだいたい配管カバーがついているのは何か理由があるのでは?」と、不安に思う人もいるかもしれません。配管カバーの設置は法律などで義務付けられているのでしょうか。
配管カバーの設置に法的義務はない
配管カバーの設置は法的義務はありません。配管カバーの設置はあくまでも任意で義務ではないのです。しかし、ほとんどの業者が配管カバーの設置も当たり前のようにセットで行っています。
もし、配管カバーの設置を希望しない場合、あらかじめ業者にそのように伝えておくようにしましょう。ただし、集合住宅の場合は注意が必要です。
集合住宅では絶対に必要な場合もある
マンションなどでは景観を保護するために管理規約等で配管カバーの設置が義務付けられている場合があります。法的義務がないとはいえ、近隣トラブルを避けるためにも管理規約は守った方が無難でしょう。
「賃貸ではなく分譲だし、自分の家なのだから」と、配管カバーを勝手に外すのもおすすめできません。どうしても配管カバーを撤去したい場合、あらかじめ管理組合などに相談するようにしてはいかがでしょうか。
給湯器の配管カバーがいらないケース
給湯器の配管カバーの設置は任意であることがわかりました。しかし、やはり多くの場合、配管カバーは付けておくに越したことはありません。次のような場合は配管カバーは明らかに不要ですが、レアケースです。
給湯器を屋内に設置している
屋内に給湯器を設置している場合、当然のことながら配管を配管カバーで保護する必要もありません。屋内型給湯器はボイラー室などの目立たない場所に置かれることがほとんどなので、目隠しのための配管カバーも不要です。
パイプスペース内に給湯器を設置している
マンションなどの集合住宅には、パイプスペースまたはパイプシャフトと呼ばれる給湯器や水道の元栓などを収納するスペースが設けられていることがあります。
パイプスペースは給湯器だけではなく水道の元栓なども含めた保護カバーのようなものなので、あたらめて配管カバーは必要ありません。
給湯器に配管カバーをつけるメリット
以上のような明らかに不要な場合をのぞけば、給湯器に配管カバーを付けるのも付けないのも基本的には自由です。それでも、配管カバーには次のようなメリットがあるので、ぜひ設置を検討してみてはいかがでしょうか。
配管が劣化しにくくなる
給湯器の配管には給湯効率を高め、寒さから守るための保温材や保護テープが巻かれています。それだけでも配管の劣化はある程度防げますが、やはり十分ではありません。
長期間、雨風にさらされて直射日光を浴び続けていると、保温材も保護テープもボロボロになり一部が剥離するなどします。しかし、配管カバーにはそのような劣化の心配もなく、配管を長年にわたってしっかりと守ってくれるでしょう。
配管の凍結を防止
外気温が下がり、冷たい風が配管に当たり続けると、配管の中を流れる水が凍結してしまうことがあります。凍結は配管の破損にもつながりますが、配管カバーを付けておけば凍結を防止できるので安心です。
給湯器の配管が凍結するというと寒い地方だけの問題のように思う人もいます。しかし、家の北側などあまり日が当たらない場所に給湯器を設置している場合はエリアを問わず凍結の可能性があるので注意しましょう。
外観が整い防犯効果も期待できる
やはり、給湯器から複数の配管が出ているのが丸見えなのは見栄えは良くありあません。保温材や保護テープがボロボロに剥がれていると、さらにすさんだ印象になってしまいます。
給湯器は泥棒の侵入経路でもある人目に付かない場所に設置されていますが、雑然とした印象を与えては標的にされかねません。外観を整え、泥棒の侵入を防ぐ効果も期待できる配管カバーなのです。
子どもやペットを危険から守る
むきだしの配管を子どもやペットが触ってケガをする例が、毎年多くはありませんが必ず報告されています。子どもやペットのケガは免れても、給湯器本体が故障してしまい、修理にお金がかかってしまった……というケースも。
いたずらしようとしたわけではなくても、ふとしたはずみで子どもやペットが配管と接触してしまうこともあります。子どもやペットを危険から守るためにも配管カバーはぜひ付けておくようにしてはいかがでしょうか。
給湯器の配管カバー設置にかかるコスト
給湯器の配管カバーを付けるのにはさまざまなメリットがあるとはいえ、設置にかかるコストも気になるところです。はたして費用対効果は期待できるのでしょうか。
配管カバー本体価格の目安
配管カバーそのものの価格は約5,000円~15,000円ほどです。だいたいは給湯器とセットで購入することになります。
ホームセンターやネットオークションなどでより安い商品を自分で購入することも可能ですが給湯器本体の型番と合致した配管カバーでなければいけない点に注意してください。
配管カバーの設置費用
配管カバーの設置費用は3,000円程度とリーズナブルですが、配管カバーの設置のみは不可という業者も多いので注意してください。
配管カバーの取り付けは給湯器本体の設置にプラスしてというケースがほとんどなのです。それでも「どうしても配管カバーだけを設置したい」という時は給湯器を購入した業者に相談してみてはいかがでしょうか。
まとめ
普段、あまり意識することもない給湯器の配管カバーですが、外観を良くするだけではなく、配管を劣化から守ってくれたり、防犯効果も期待できたりすることがわかりました。
ただ、配管カバーがなくても給湯器は何の問題もなく作動しますし、法律で設置を義務付けられているわけではありません。給湯器に配管カバーを付けるのも付けないのもあくまでも自由です。
コストカットのために配管カバーを付けないという選択もあります。しかし、そうしたところで節約できるのは多くても2万円程度。給湯器の配管カバーを付けなかったことで起きる万が一の破損リスクなどを考えれば、設置をした方がお得ともいえるでしょう。
配管カバーの設置のみの工事はしていないという業者も多いので、給湯器本体の新設・交換の際にはぜひ配管カバーの取り付けも検討してみてはいかがでしょうか。