給湯暖房熱源機(TES)とは?床暖房機能のない給湯器からでも交換できる?
給湯器のなかには、床暖房が使える給湯暖房熱源機(TES)があります。
現在お使いの給湯器が床暖房に対応していなくても、給湯暖房熱源機(TES)に交換することで、床暖房や浴室暖房、浴室暖房乾燥機が使えるようになります。
この記事では、給湯暖房熱源機(TES)とは何か、給湯暖房熱源機で床暖房を導入する流れや床を暖める仕組み、給湯器と床暖房の工事費用や工期について詳しく解説します。
給湯暖房熱源機(TES)とは
給湯暖房熱源機(TES)とは、給湯機能と自動湯はりや追い焚きなどのお風呂機能に加え、温水暖房の機能を備えた給湯器のことです。
給湯暖房熱源機があれば、床暖房はもちろん浴室暖房や浴室暖房乾燥機にも対応しており、寒い季節も快適に過ごせます。
給湯器各社が床暖房対応の給湯器を販売していますが、給湯暖房熱源機(TES)は、1温度式と2温度式の2種類に分けられます。
1温度式 | 温水接続口が1カ所、80℃のお湯が作れる。 |
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2温度式 | 温水接続口が2カ所、60℃と80℃のお湯が作れる。 |
床暖房には40℃~60℃を循環させる低温暖房機を使用します。そのため床暖房を設置するには、2温度式の給湯暖房熱源機(TES)を選ぶ必要があります。
給湯器と熱源機の違い
給湯器は沸かしたお湯そのものを使いますが、熱源機はお湯をわかして熱を使用する点に違いがあります。
たとえば、給湯器は沸かしたお湯を台所や洗面所、浴室などの蛇口からお湯を出して使いますが、床暖房や浴室乾燥暖房では給湯暖房熱源機(TES)で沸かしたお湯を循環させて、熱によって床や浴室を暖めます。
給湯器を用いた床暖房の仕組み
床暖房は給湯暖房熱源機(TES)でお湯を沸かし、暖房用ポンプで室内に循環させ、床を暖める仕組みです。給湯器の床暖房にも電気式、ガス温水式、ハイブリッド式の三種類があります。
電気式 | 電気で熱源を発熱し、暖める仕組み |
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ガス温水式 | ガスで温水をつくり、循環させて暖める仕組み |
ハイブリッド式 | 電気とガスをつかい、熱と温水の両方で暖める仕組み |
給湯器のなかではガス温水式の床暖房が人気です。
ガス式は立ち上がりの速さから床が暖まる時間も短く、電気式に比べて消費電力が少なく済むなど省エネ面でも優れています。
床暖房付き給湯器への交換で、床暖房は後付けできる?
現在お住まいの給湯器を給湯暖房熱源機(TES)に交換することで床暖房は後付できます。床暖房の工事は、床を剥がして設置する簡易的な方法と床の上に直接施工する方法があり、それぞれ工期の目安は異なります。
床上に施工 | 1日~2日で施工完了 |
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床を剥がして施工 | 3~4日で施工完了 |
ただし、床上に直接設置をすると床が1cm程度高くなり、ドアや窓の開閉などに支障が出る恐れがあります。またマンションの場合は管理規約上、工事ができるかどうか管理会社や管理組合に相談する必要があります。
床暖房付き給湯器導入の流れ
床暖房付き給湯器の導入方法ですが、床上に施工する方法と床を剥がして施工する方法では工事の流れが異なります。
床上に施工
はじめに既存の床が熱などで傷まないよう補強用のビズで固定します。次に断熱チューブを配管し、熱源機から断熱ペアチューブを配管します。
床の上に床暖房パネルを設置し、床下の断熱ペアチューブと接続したあと、断熱ペアチューブの無い部分の床と高さを揃えるためにダミーパネルを敷き詰めます。
床材が敷き詰められたら床暖房リモコンの配線と取り付けを行い、温水チューブやパネルの水漏れがないかチェックします。最後に熱源機と温水器を接続し、試運転を行えば床暖房工事は完了です。
床を剥がして施工
はじめに既存の床を剥がし、壁際にある際根太(読み方:きわねだ。柱や壁ぎわに隣接して取り付ける、床の下に渡す横木のこと)も取り外します。
つぎに床暖房の高さにあわせて下地材を貼り、先程取り外した際根太を再度取り付けます。下地の上にチューブ管、温水マットを敷いたあと、床に固定温水マットと床下配管を接続したら床材を敷き詰めます。
床暖房リモコンの配線と取り付け、温水チューブやパネルの水漏れがないか確認し、熱源機と温水器を接続したあとの試運転で問題がなければ施工は完了です。
床暖房導入前の確認ポイント
床暖房を導入する前に確認しておきたいポイントをまとめました。
床暖房と浴室暖房乾燥機の数 | 給湯器は、最大6カ所まで接続できる |
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給湯器と熱源機の種類 | 電気、ガス温水、ハイブリッド式から選ぶ |
給湯器の号数を選ぶ | 1分間に水温+25℃のお湯が出せる能力によって、給湯器の大きさが変わってきます |
設置場所の確認 | リビング、キッチン、浴室、洗面所、トイレなど |
設置方法 | 床に直接設置か、床を剥がして設置するか |
建物への断熱性 | 床暖房の輻射熱が冷えないよう、ドアや窓の断熱性を高める |
床暖房と浴室暖房乾燥機の数を確認
給湯暖房熱源機(TES)は、最大6カ所まで接続できる機器があり、接続できる数が多くなれば給湯器の価格も高くなります。
例えば3カ所接続できる機器は「3系統」といい、4カ所接続できる給湯器は4系統といいます。床暖房と浴室暖房乾燥機を何カ所接続するのか計算し、給湯器の種類を選びましょう。
給湯器と熱源機の種類を選ぶ
給湯暖房熱源機(TES)の熱源は電気式、ガス温熱式、ハイブリッド式がありますが、それぞれ立ち上がりの速さや省エネ性能は異なります。また熱源の違いによって、工事費用や工期なども変わってきます。
ガスふろ給湯暖房用熱源機 | 給湯、自動湯はり、おいだきなどのお風呂機能、暖房機能が使用できる |
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ガス給湯暖房用熱源機 | 給湯、暖房機能が使用できる |
ガス暖房専用熱源機 | 暖房機能のみ |
床暖房に対応した給湯器は大きく分けて三段階ありますが、それぞれ使える機能とグレードによって給湯器の価格が異なります。
給湯器の号数を選ぶ
給湯器の号数は家族の人数や床暖房の大きさで選びましょう。
1人家族 | 16号 |
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2~3人家族 | 20号 |
3~4人家族 | 24号 |
たとえば24号の給湯器であれば、水温+25℃のお湯が1分間につき24L出せる性能があります。家族の人数、お湯を使う場所の多さによって号数の大きな給湯器を選びます。
設置場所の確認
床暖房は家族が長く時間を過ごす場所や、立ち仕事が多いキッチン、ヒートショック予防として浴室や洗面所、トイレなどに設置するのが一般的です。
設置方法
設置方法は直接床に施工するか、床を剥がして設置するか、方法は二種類です。直接設置をした場合、工期は短く済みますが、ドアや窓の開閉に支障が無いかどうか確認してください。
建物への断熱性
床暖房を最大限に活かすためにも、輻射熱(読み方:ふくしゃねつ、熱線によって直接伝わる熱のこと)が冷えないよう、窓やドアの部分に断熱材を敷いたり、断熱性を高める工夫が必要です。
床暖房付き給湯器への交換・施工費用の相場
給湯器を交換し、床暖房を設置した場合の工事費用ですが、設置する床暖房の面積によって全体の工事費用は変動します。
給湯器の本体・設置費用
床暖房に対応した、給湯暖房熱源機(TES)の設置工事費の目安は、電気式とガス温水式で価格が異なります。
面積 | 電気式 | ガス温水式 |
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6畳 | 28万円~53万円 | 30万円~65万円 |
8畳 | 30万円~69万円 | 38万円~94万円 |
10畳 | 35万円~78万円 | 48万円~100万円 |
12畳 | 48万円~82万円 | 63万円~112万円 |
20畳 | 68万円~108万円 | 74万円~160万円 |
※ 料金は目安であり、熱源機のグレードによって価格は変動します。
電気式に比べてガス温水式の方が、価格はやや高くなっていますが、電気に比べてガス温水の方が立ち上がりのスピードが速く、短時間で床が暖まるという理由で、省エネ性能は高くなっています。
床暖房設置費用とは別に、熱源器の設置費は25万円~100万円程度(面積によって変動)かかります。
床暖房の本体・施工費用
床暖房の施工費用について、一畳あたりの工事費用目安をまとめてみました。
施工内容 | 工事費用/1畳あたり |
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床に直接設置 | 4万円~8万円程度 |
床を全面貼り替え | 8万円~11万円程度 |
なお床材の種類、施工方法によって全体の工事費用は変動します。正確な金額は見積もりを取りましょう。
床暖房付き給湯器の工事日数
床暖房付き給湯器の工事日数は、床に直接設置する場合で1~2日、床を剥がして設置する場合3~4日で施工できますが、床材や給湯器を取り寄せした場合や施工規模によっては、1週間から10日前後かかることもあります。
床暖房付き給湯器に交換する場合の注意点
床暖房付き給湯器に交換するには、床全体のリフォームが必要です。床に直接設置するのか、床を剥がして工事するのか、導入する床面積、設置する給湯器のグレードや大きさと合わせて全体の工事費用を相見積もりしましょう。
床暖房の寿命は30年。給湯器の寿命は10~15年
給湯器の寿命は平均10年~15年です。また床暖房にも寿命があり、平均30年で熱源機をは交換されます。
中古で住まいを購入した場合、古い床暖房が設置されている場合があります。給湯器と合わせて床暖房も寿命を迎えていないか、定期的にメンテナンスを受けましょう。
床暖房の故障は修理が大変
ガス床暖房は耐久年数が長く、給湯器に比べて故障するケースは少ないです。
ただし耐久年数を過ぎていたり、寒冷地で使用した場合は配管の寿命が短く、凍結した場合には配管が破裂するなどのトラブルが起こりやすくなります。
床暖房の故障は床をめくって修理をするため、一度壊れてしまうと非常に面倒です。毎日のメンテナンスは不可能ですが、大きな故障を避けるためにも業者に依頼し定期的にメンテナンスを受けておくと安心です。
電気代がお得な床暖房と給湯器の選び方
給湯器の電気代は熱源機によって異なります。以下1日8時間、床温度30℃で連続使用した場合の電気代目安をまとめてみました。
床暖房給湯器の電気代目安
面積 | 電気代/月額 |
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電気式床暖房 | 約2,800円~6,000円 |
温水式床暖房(ヒートポンプ式) | 約2,800円 |
温水式床暖房(石油ボイラー式) | 約3,800円 |
温水式床暖房(都市ガス) | 約3,200円 |
このなかで最も電気代が安いのは、温水式床暖房(熱源がヒートポンプ式)でした。床暖房や浴室暖房等を導入した場合、暖める範囲が広くなるので、電気代がお得な給湯器を選びたいですね。
まとめ
給湯器を交換するタイミングで、床暖房を設置すると秋冬、春先の寒い時期も快適に過ごせます。給湯器の寿命に合わせて、床暖房が使える給湯器を導入してみてはいかがでしょうか。
省エネ性能の高い給湯器を選べば、電気代をかけずに快適な住環境が得られますよ。