給湯器が点火しない場合の原因と対処法
「給湯器のリモコンのスイッチを入れたのに、点火しない」という場合には、いったいどうしたらいいのでしょうか?給湯器が点火しないときに考えられる原因と、そのときの対処法について、ご紹介します。
給湯器が点火しない原因
給湯器が点火しないときは、次のような原因が考えられます。
- 点火装置(イグナイター)の異常
- ガス栓が閉じている
- ガス供給の遮断
- 水の供給不足
- 電気関連のトラブル
- 悪天候
- 給排気口へのゴミや異物の付着
点火装置(イグナイター)の異常
給湯器の点火装置である「イグナイター」に何らかの異常がある場合は、点火しません。点火しても、途中で消えてしまいます。イグナイターとは、給湯器を点火させるために必要な電圧を発生させる装置です。
また、給湯器が老朽化していると、電圧を発生させるための電極の劣化や制御基板の故障が発生し、それによって点火できなくなることがあります。このような状態のとき、リモコンの燃焼ランプや炎のマークは消えています。
老朽化するのは給湯器だけでなく、リモコン自体も老朽化によって故障することがあります。
ガス栓が閉じている
ガス栓が閉栓されているときも、給湯器は点火しません。この場合、給湯器のリモコンは燃焼ランプや炎のマークが点灯していない状態です。ガスの元栓が閉じていたら、開栓する必要があります。
給湯器とガスメーター、双方の元栓をチェック
給湯器のガスの元栓の位置は、給湯器とつながった配管に付いています。給湯器は一軒家であれば家の外側に付いていることが多く、マンションの多くは外廊下のメーターボックスやベランダに付いています。北海道などの寒冷地では、給湯器が屋内に付いているケースもあります。
また、ガスの大元の元栓が閉まっている場合もあります。見落としのないよう、双方確認する必要があります。
ガス供給の遮断
なんらかの理由でガスの供給が断たれ、給湯器が点火しない場合があります。
ガス供給が原因の場合は、給湯器側も異常を察知し、リモコンに点火不良を表す「111」のエラーコードを表示します。
地震などによって安全装置が働き、ガス供給が遮断
ガスメーターの安全装置が働いたときも、自動的にガス供給が遮断されることがあります。たとえば地震や落雷などの天災が起きたときや、ガス漏れが起きたときには、安全装置が働きます。ガスの圧力が低下したとき、長時間にわたってガス給湯器を使用していたときも同様です。
プロパンガスはガス切れの可能性も
プロパンガスの場合は、ごく稀にガス切れの可能性もあります。プロパンガス会社は、ガス切れを起こさないよう、遠隔管理をしています。しかし、ガスの使用が急激に増えたときなど、何らかの理由でガス切れを起こす可能性もないとは言えません。
万が一ガスがなくなっていたときはプロパンガスの販売店に連絡しましょう。
水の供給不足
給湯のための水が十分に流れていないときは、給湯器は点火しません。たとえ点火していても、途中で火が消えてしまうことがあります。このとき、リモコンの燃焼ランプや炎のマークは消えています。
原因としては、給水パルプが詰まっている場合や、断水の場合、水抜き栓が詰まっている場合、蛇口やシャワーを絞り過ぎて水圧が低下している場合などが考えられます。
また、給水の元栓が閉まっている(または十分に開栓されていない)場合も点火しませんし、寒冷地では真冬に配管が凍結して水が流れないこともあります。
電気関連のトラブル
給湯器側の問題ではなく、電器関係のトラブルで給湯器が動かないケースもあります。ブレーカーが落ちていたり、漏電や過電流などの影響で電気が通らなければ、リモコンの電源はOFFになり、液晶画面も消えた状態となります。
悪天候
大雨や台風で、給湯器内部に水や湿気が入り込む
給湯器は、大雨や台風などがあると、点火が不安定になることがあります。給湯器の内部に水や湿気が入り込んでしまい、点火しづらくなるケースです。
ただ、2000年代以降に発売されている給湯器は燃焼部分に水が入り込まない構造となっています。そこまで起こりやすいトラブルではありませんが、台風クラスの強い風雨であれば、点火に影響を及ぼす可能性も0とは言えません。
海浜地域では、塩害が原因で点火装置が異常を起こすことも
給湯器は基本的にサビや腐食に強いつくりにはなっていますが、海浜地域に設置された給湯器の中には、塩害によりサビや腐食が発生するケースもあります。サビや腐食した箇所にできた隙間から給湯器の内部に水や湿気が入り込むと、点火できなくなることがあります。
給排気口へのゴミや異物の付着
給湯器の給排気口に何らかの原因でゴミや異物が付着していると、給気や排気がうまくいかず点火しないか、途中で火が消えてしまうことがあります。
たとえば強風によって洗濯物やビニール袋が飛んできて、給排気口を塞いでしまうようなケースです。この場合、リモコンの燃焼ランプや炎のランプは消えています。
給湯器の点火不良につながる前兆
給湯器の点火不良につながる前兆として、次のようなことが起こります。お湯が出なくなる可能性が高いので、注意しましょう。
- 追い焚きやお湯はりができない
- お風呂のお湯が温まらない
- 給湯の温度が設定温度と違う
- お湯が出るのに時間がかかる
- 給湯すると異音や異臭がする
設定通りにお湯が出ない状況は、点火不良のサイン
つまり、給湯器を使えていたとしても、お湯の温度が低い、出るお湯が少ないなど、給湯器の設定通りにうまく動作しない場合は、点火不良のサインと言えます。
特に給湯器から異臭や煙が出たときは、不完全燃焼を起こしていることも考えられます。異変を放置して給湯器を使い続けると、火事や事故にもつながり非常に危険なので、すぐに専門家にみてもらいましょう。
給湯器が点火しない時の対処法
給湯器が点火しなかったときは、次の方法で対処しましょう。
- エラーが出た場合は、リモコンをリセットしてみる
- ガスメーターを確認する
- ガス栓や給水栓が閉じているときは、元栓を開く
- 給湯器の周囲に異物がないか確認する
- 給湯器のコンセントを確認する
エラーが出た場合は、リモコンをリセットしてみる
給湯器が点火しなかったときは、まず給湯器のリモコンを見てみましょう。給湯器のリモコンに「111」などのエラーが表示されていた場合は、まずリモコンをいったんオフにし、再度電源を入れ直してみます。
この操作によって、一時的なエラーやフリーズなどの場合は、点火が可能になります。
ガスメーターを確認する
リモコンの電源を入れ直しても点火できない場合は、家の外(マンションやアパートの場合は、共用廊下のメーターボックスの中や玄関脇など)に設置されているガスメーターを確認してみましょう。ガスメーターのランプが点滅していたら、ガスが停止状態になっています。復旧作業をしないと給湯器を含む、すべてのガス器具を使うことはできません。
ロックを解除する手順は以下の通りです。
- 室内のガス栓をすべて閉める
- ガスメーターのキャップを外してボタンをゆっくり押し込み、すぐに手を離す
3分ほどしてランプの点滅が消えれば、給湯器を始めとしたすべてのガス器具が使えるようになります。
ガス栓や給水栓が閉じているときは、元栓を開く
「給湯器が点火しないと思ったら、実はガス栓や給水栓が閉じていた」ということもあります。ガス栓や給水栓の状態をチェックし、閉じていたときは元栓を開きましょう。
「元栓は閉めていない」と確信していても、万が一の可能性をひとつずつ潰していくことが重要です。念のために確認しておくことをおすすめします。
給湯器の周囲に異物がないか確認する
ガスメーターや元栓を確認する際に、給湯器の周囲に異物がないかも確認しておきます。給排気口にゴミが溜まっている場合や、洗濯物やビニール袋がからまっている場合などは、給湯器が点火しないので、異物を取り除いておきます。
また、給排気口の近くに障害物が置かれていると、安全装置が働いてガスがストップすることもあります。大掃除やガーデニングのときなどに、意識せず給湯器の目の前に物を置いてしまうケースもあるので、給湯器まわりに障害物を見つけた場合は、別の場所に移動させましょう。
給湯器のコンセントを確認する
給湯器のコンセントのプラグが、自然に抜けてしまっている場合があるので、確認しましょう。コンセントが抜けている場合は入れ直します。差し込まれていてもうまく動作しない場合は、コンセントをいったん抜いて入れ直すことで、回復する場合もあります。
それでも給湯器がつかない場合
使用年数5年を目安に、修理または交換の判断を
ここまでやっても給湯器が点火しない場合は、自力で修復するのは難しいでしょう。使用年数が5年程度であれば、修理することで使い続けられる可能性もあります。
しかし10年を超えた給湯器が点火不良になったときは、「そろそろ交換のタイミング」と考えるのが賢明です。修理用の部品も、10年を超えるとストックがない場合があるので、新しい給湯器に交換することをおすすめします。
まとめ
給湯器が点火しない理由には、機器の故障や安全装置の作動、水の供給不足など、さまざまな理由が考えられます。
給湯器の不調によるお湯が使えない生活は、いざなってみると想像以上に不便を感じるもの。「専門家にきてもらわなければ」と焦ってしまいがちですが、意外とリモコンの電源を入れ直すことで修復するケースも少なくありません。
まずはリモコンやガスメーター、元栓、コンセントなどを確認し、それでも点火しなかった場合には、速やかにガスメーカーや修理業者に連絡しましょう。