サーモスタットとは?混合水栓の仕組みと給湯器の最適な設定温度などを解説

サーモスタットとは?混合水栓の仕組みと給湯器の最適な設定温度などを解説

サーモスタット混合水栓は、浴室の水栓に多く使われている便利な製品です。吐水温度を一定に保つことができるので、お湯を出すときに温度調節をする手間が省けます。しかし、サーモスタット混合水栓にも故障や不具合が起こることがあります。

サーモスタット混合水栓の不具合などで、給湯器の設定温度にならない、ぬるいお湯しか出ない、温度調節ができないなどの症状が出たら、どうすればいいのでしょうか?

この記事では、サーモスタット混合水栓の仕組み、給湯器の設定温度にならない原因、故障時の症状と対処方法などについて解説します。

サーモスタット混合水栓とは?

SANEI サーモシャワー混合栓サーモスタット混合水栓とは、水とお湯の温度を自動的に調節してくれる水栓のことです。温度調節ハンドルを使って、好きな温度に設定することができます。

サーモスタット式混合栓は、浴室など一定の温度を保ちたい場所で使われており、シングルレバー混合栓は、水とお湯の切り替えが頻繁にあるキッチンや洗面所に適しています。

画像出典元:サーモシャワー混合栓 | 商品のご案内 | SANEI|デザイン性に優れた水まわり用品、水栓メーカー

浴室の水栓に多く使われている

サーモスタット混合水栓は、浴室の水栓に多く使われています。サーモスタット混合水栓は、お湯の温度を自動的に調節してくれるため、入浴中に冷たいお湯や熱いお湯が出るストレスや不快感を解消してくれます。

また、浴室は他の場所よりも水圧や給湯温度が変化しやすい場所です。サーモスタット混合水栓は、これらに影響されずに一定の温度を保つことができるため、安定した入浴環境を提供してくれます。

サーモスタット混合水栓の仕組み

サーモスタット混合水栓は、お湯と水の割合を自動的に調節して、設定した温度に近いお湯を出す機能があります。この機能は、サーモバルブ(バルブ、形状記憶合金バネ)と呼ばれる部品によって実現されています。

バルブと形状記憶合金バネ

画像出典元:お風呂場で活躍する「サーモスタット混合栓」適温を保つ仕組みから取替え方法まで – いいものマガジンウェブ

サーモバルブは、温度調節機能のハンドルと連動して動き、吐水口から出るお湯の温度を感知し、お湯と水の割合を調節する弁を開閉します。設定した温度を安定させて保つために調節弁として機能するのが、形状記憶合金バネと呼ばれる部品です。

形状記憶合金バネとは

形状記憶合金バネとは、変形させても熱を加えるだけで元の形状に戻る特殊なバネのことを指す。温度が低くなると自動で縮み、湯量を増やす。温度が高くなると自動で伸びて、湯量を減らす。

このようにして、サーモスタット混合水栓は、給湯器の設定温度や水圧などの変化に影響されずに、一定の温度を保つことができます。

サーモスタット混合水栓で給湯器の設定温度にならない

サーモスタット混合水栓で給湯器の設定温度にならない

サーモスタット混合水栓で、給湯機器の設定温度にならない状況が発生した場合、以下のような点を確認して対処しましょう。

  • 温度調節ハンドル
  • 給湯器の設定温度
  • 台所や洗面の水栓で給湯器設定温度のお湯が出るか
  • 給湯器に問題がないか

温度調節ハンドルを確認

サーモスタット混合水栓には、温度調節ハンドルという部品があります。お湯の温度を設定するためのハンドルで、目盛りや色分けで温度を示しています。

もし、このハンドルがずれていたり、緩んでいたりすると、正しい温度にならないことがあります。その場合は、ハンドルを取り外して位置を調整したり、固定したりする必要があります。

給湯器の設定温度を確認

給湯器にはリモコンやダイヤルなどで温度を設定する機能がありますが、誤って変更されている可能性があります。また、給湯器の種類によっては、夏冬切り替えや節電モードなどで温度が自動的に変わる場合もあります。その場合は、適切なモードに切り替える必要があります。

サーモスタット混合水栓は、給湯器の設定温度よりも低い温度のお湯しか出しません。もし、給湯器の設定温度が低すぎると、希望の温度にならないことがあります。その場合は、給湯器の設定温度を高くする必要があります。

台所や洗面の水栓で給湯器設定温度のお湯が出るか確認

台所や洗面の水栓で給湯器設定温度のお湯が出るか確認しましょう。台所や洗面の水栓はサーモスタット混合水栓ではなく、シングルレバー混合水栓や単水栓などであることが多いです。これらの水栓では、お湯と水の割合を手動で調節する必要があります。

もし、台所や洗面の水栓(シングルレバー混合水栓や単水栓)で給湯器設定温度のお湯が出る場合は、サーモスタット混合水栓そのものに問題がある可能性が高くなります。

台所や洗面の水栓でお湯のみを出して確認する必要があるため、熱い湯が出るので注意してください。

給湯器に問題がないか確認する

もし、台所や洗面の水栓(シングルレバー混合水栓や単水栓)でも給湯器設定温度のお湯が出ない場合は、給湯器自体に問題がある可能性があります。

給湯器には、ガス漏れや故障などの異常を知らせるエラーコードや警告音などが備わっています。対応が難しいエラーや異音が発生している場合は、メーカーや業者に連絡しましょう。

参考リンク:サーモスタット混合水栓で「希望の温度が得られない」「お湯がぬるい」|LIXIL

サーモスタット混合水栓が壊れる原因

サーモスタット混合水栓は、長く使っていると故障する可能性があります。故障する原因としては、以下のようなものがあります。

  • 給湯器の設定温度が低すぎる
  • 温度調節ハンドルの不良
  • 水圧が高すぎる
  • サーモバルブの不具合

給湯器の設定温度が低すぎる

給湯器の設定温度が低すぎると、サーモスタット混合水栓は正常に機能しません。サーモスタット混合水栓は、給湯器の設定温度よりも低い温度のお湯しか出しません。

給湯器の設定温度が低すぎると、希望の温度にならないだけでなく、サーモバルブに負担をかけて故障する原因にもなります。給湯器の設定温度は、リモコンなどで変更できます。

温度調節ハンドルの不良

温度調節ハンドルは、お湯の温度を設定するための部品です。ハンドルを無理に回したり、強く叩いたりすると、内部の部品が破損して故障することもあります。

ハンドルの不良は、取り外して位置を調整したり、固定したりすることで改善できる場合もありますが、破損している場合は交換する必要があります。

水圧が高すぎる

水圧が高すぎると、サーモスタット混合水栓は正常に機能しません。サーモバルブがお湯と水の割合を正確に調節できなくなります。また、サーモバルブに負担をかけて故障する原因にもなります。

水圧が高すぎる場合は、水道管の元栓や給湯器の元栓を少し閉めて水圧を下げる必要があります。水圧の適正値は、メーカーや製品によって異なるので、取扱説明書や公式サイトなどを参照してください。

流量は流量調節栓にて調節できます。ただし、極端に絞ると精度が悪くなるか、止まらなくなる可能性があるので注意が必要です。

サーモバルブの不具合

サーモバルブは、お湯と水の割合を自動的に調節する部品です。しかし、この部品が故障すると、温度調節ができなくなります。

サーモバルブが故障する原因としては、水垢や錆などで汚れていたり、経年劣化や破損などで機能しなくなっているなどが考えられます。故障の疑いがある場合は、水道業者などに相談すると良いでしょう。

混合水栓にとって最適な給湯器の推奨設定温度

サーモスタット混合水栓を使っている場合は、給湯器の設定温度を適切にすることが重要です。給湯器の設定温度が高すぎると、光熱費が無駄にかかったり、熱湯による火傷の危険があったりします。逆に給湯器の設定温度が低すぎると、希望の温度にならなかったり、サーモスタット混合水栓が故障したりします。

では、サーモスタット混合水栓を使っている場合、給湯器の設定温度は何℃にすればよいのでしょうか?以下で確認していきましょう。

必要とする温度の+10℃を設定する

サーモスタット混合水栓を使っている場合は50℃が適切

一般的には、必要とする温度の+10℃を設定することが推奨されています。例えば、シャワーを浴びる際に必要とする温度は約40℃です。この場合は、給湯器の設定温度を50℃にすることが望ましいです。

サーモスタット混合水栓は、給湯器の設定温度よりも低い温度のお湯しか出しません。もし、給湯器の設定温度が必要とする温度と同じだったり、それ以下だったりすると、希望の温度にならないことがあります。

また、給湯器の設定温度が必要とする温度に近すぎると、サーモバルブは微妙な調節を繰り返すことになります。結果的に負担をかけてしまい、サーモバルブの故障の原因にもなります。

50℃~60℃以下で設定するのはあまり良くない

給湯器の設定温度を50℃~60℃以下にするのは、あまり良くないとされています。主な理由としては、以下の通りです。

  • 希望の温度にならない可能性が高くなる
  • サーモスタット混合水栓が故障する可能性が高くなる
  • 何かしらの細菌が増殖する可能性が高くなる

希望の温度にならない可能性が高くなる

一般的に、シャワーを浴びる際に必要とする温度は約40℃です。もし、給湯器の設定温度が50℃~60℃以下だと、サーモスタット混合水栓はお湯と水の割合をほとんど変えられません。そのため、希望の温度にならない可能性が高くなります。

サーモスタット混合水栓が故障する可能性が高くなる

給湯器の設定温度が低すぎると、サーモスタット混合水栓はお湯と水の割合を微妙に調節し続けることになります。これは、サーモバルブに負担をかけて故障する原因にもなります。

何かしらの細菌が増殖する可能性が高くなる

給湯器の設定温度が低すぎると、一般細菌や従属栄養細菌などが繁殖する可能性が高くなります。そのため、給湯器の設定温度は50℃~60℃以上にすることが推奨されています。

サーモスタット混合水栓の交換費用目安

サーモスタット混合水栓は、故障した場合に交換をする必要があります。風呂場サーモスタット水栓の交換にかかる費用の目安は以下の通りです。

項目 費用目安
浴室混合水栓交換 3~7万円(工事費込み)
部分的なパーツ交換 2~3万円(工事費込み)

サーモスタット(自動温度調整)ありは、部分的なパーツ交換対応でも費用はそれなりに発生するため、水栓全体の交換をおすすめされることがほとんどです。

まとめ

今回は、サーモスタット混合水栓の仕組み、給湯器の設定温度にならない場合の確認・対処方法、壊れないように使うコツなどについて解説してきました。

サーモスタット混合水栓は、お湯の温度を自動的に調節してくれる便利な水栓です。しかし、稀に設定温度にならないなどのトラブルが起こることがあります。

また、給湯設定温度が低すぎたり水圧が高すぎるような場合は、サーモバルブなど重要な部品に大きな負担がかかり、故障する原因となってしまいます。

サーモスタット混合水栓の寿命は、およそ10~20年と長いですが、適切な温度設定や使用方法で壊れないように使っていきましょう。

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