給湯器のフルオートとオートの違いは?機能とメリット・デメリットを徹底比較
給湯器には、フルオートとオートという2種類のタイプがあります。どちらもお風呂の自動機能を備えていますが、その内容や性能には違いがあります。
お風呂周りの機能を重要視する場合はフルオートタイプの給湯器が便利ですが、基本的な機能だけで問題なければオートタイプで十分です。
この記事では、給湯器のフルオートタイプとオートタイプの機能比較、フルオートとオートそれぞれのメリット・デメリットを解説します。
給湯器のフルオートとオートの違いを徹底比較
オートタイプとフルオートタイプの違いは、水位検知による自動足し湯や入浴検知・自動沸きあげ、追い焚き配管自動洗浄などを自動で行ってくれるかどうかです。
フルオートタイプには自動たし湯や配管自動洗浄といった便利な機能が付いていますが、その分価格は高くなりますし、オートタイプよりもランニングコストがかかる場合もあります。
以下の表では、オートタイプとフルオートタイプの主な機能の違いを比較紹介します。
比較項目 | フルオート | オート |
---|---|---|
給湯 | ○対応 | ○対応 |
自動お湯はり | ○対応 | ○対応 |
自動追い焚き・自動保温 | ○対応 | ○対応 |
自動足し湯 | ○対応 | ×未対応 |
入浴検知・自動沸きあげ | ○対応 | ×未対応 |
水位検知 | ○対応 | ×未対応 |
追い焚き配管自動洗浄 | ○対応 | ×未対応 |
本体価格 | ×高い | ○安い |
ガス代 | ×高い | ○安い |
給湯
給湯機能においては、フルオートタイプとオートタイプの給湯器で大きな変わりはありません。どちらのタイプの給湯器も、台所や洗面所などへの給湯のほか、お風呂などでの給湯に対応しています。
フルオート
給湯 ○対応
オート
給湯 ○対応
自動お湯はり
自動お湯はり機能とは、空の浴槽に自動でお湯を溜める機能のことです。機種によっては、浴槽の半分・満杯などのように湯量を調整できます。
フルオートタイプとオートタイプの給湯器で大きな変わりはありません。どちらの給湯器も自動お湯はりに対応しており、リモコンで設定した時間や温度に応じて自動で浴槽にお湯を張ることができます。
フルオート
自動お湯はり ○対応
オート
自動お湯はり ○対応
自動追い焚き・自動保温
自動追い焚きと自動保温は、お風呂のお湯を温めるための機能です。自動保温機能とは、設定したお湯の温度を保つために自動で細かく追い焚きをするものです。設定温度より下がるとすぐに温めなおしてくれるので、一定の温度を長時間保つことができます。追い焚き機能とは、浴槽内のお湯を再び温めてくれるものです。
フルオートタイプとオートタイプの給湯器で大きな変わりはありません。どちらの給湯器も自動追い焚き・自動保温に対応しています。
フルオート
自動追い焚き・自動保温 ○対応
オート
自動追い焚き・自動保温 ○対応
自動足し湯
自動足し湯とは、お風呂のお湯が減った時に自動的に差分のお湯を足してくれる機能のことです。この機能は、お風呂のお湯が減った時に手動で足す手間を省き、快適な入浴をサポートします。
フルオートタイプは、水位センサーで浴槽の水位が低くなったことを検知して、自動で足し湯を行います。一方、オートタイプは浴槽の水位が低くなったことを検知できないため、自動で足し湯を行うことができません。
フルオート
自動足し湯 ○対応
オート
自動足し湯 ×未対応
入浴検知・自動沸きあげ
入浴検知機能とは、浴槽に人が入浴したことを自動で検知し、冷えた体で入浴した場合やお湯がぬるいと感じる前に自動で沸きあげて快適さを保つ機能のことです。入浴した人が「ぬるい」と感じないよう、設定されている温度に自動で沸きあげます。
例えば、冬場に42℃のお湯に10分間入浴すると湯温は1℃以上低下しますが、フルオートタイプは浴槽に人が入ったことを自動で検知し、自動で沸きあげます。一方、オートタイプは入浴検知できないため、自動で沸きあげを行うことができません。
フルオート
入浴検知・自動沸きあげ ○対応
オート
入浴検知・自動沸きあげ ×未対応
水位検知
水位検知とは、給湯器が浴槽の水位の変化を正しく検知する機能のことです。例えば、コロナ社のエコフィール・EFシリーズには、人感センサーと水位センサーのWセンサーで快適な入浴をサポートする入浴サポート機能があります。
フルオートタイプには、水位センサーが機器に内蔵されているため、浴槽内の水圧を電気信号に変換することで水位を検知しています。一方、オートタイプは水位センサーが内蔵されていないため、浴槽内の水位を検知することができません。
フルオートタイプに組み込まれている水位検知機能ですが、主にダイヤフラムと呼ばれる圧力計を使って水位を測っています。浴槽にお湯が溜まると水圧が変化するので、それを検知して水位を保っています。
フルオート
水位検知 ○対応
オート
水位検知 ×未対応
追い焚き配管自動洗浄
追い焚き配管自動洗浄とは、浴槽の水栓を抜いてお湯を排水する時に、追い焚き用の配管内部に新しいお湯を流し込んで、追い焚き配管を自動洗浄する機能のことです。
メーカー違いや若干の性能差により名称が変わります。自動配管クリーン機能、スマート配管クリーン、追い炊き配管自動洗浄などと呼ばれている場合もありますが、基本的には同じです。
種類に応じて、浴槽の水栓を抜いたときに自動的に起動するか、自分でボタンを押したときに自動的に起動するかによって、自動または手動の操作を選択できます。
フルオートタイプには、追い焚き配管自動洗浄の機能が付いているため、追い焚き配管内に溜まった汚れやカビを自動で洗浄することができます。一方、オートタイプは追い焚き配管自動洗浄の機能がないので、定期的に清掃やメンテナンスをする必要があります。
フルオート
追い焚き配管自動洗浄 ○対応
オート
追い焚き配管自動洗浄 ×未対応
本体価格
給湯器の本体価格ですが、フルオートタイプはオートタイプよりも高価で、約2万円ほどの価格差があります。給湯器自体の相場は容量によって異なりますが、一般的な家庭の場合は工事費用込みで12~20万円程度が相場です。
機能を比較すると2万円の差はそれほど大きくないように思えますが、少しでも本体価格などの初期費用を抑えたいという方は、フルオートタイプよりも安いオートタイプの給湯器を選んでください。
フルオート
本体価格 ×高い
オート
本体価格 ○安い
ガス代
フルオートタイプとオートタイプの給湯器で、ガス代などのランニングコストが大きく異なってくることはほとんどありません。
ただし、フルオートタイプの方がオートタイプよりも足し湯の頻度が自動的に増えるため、ガス代や水道代などのランニングコストが少なからず高くなることがあります。
フルオート
本体価格 ×高い
オート
本体価格 ○安い
フルオート給湯器の基本機能と独自機能
基本機能
フルオートタイプとは、お風呂や水栓の温度調節やお湯張りなどを自動で行ってくれるタイプの給湯器です。リモコンで設定した時間や温度に応じて、給湯器が自動で出湯量や混合水量を調整します。
また、浴槽の水位や入浴状況を検知して、自動で足し湯や沸きあげ、追い焚き保温などを行います。さらに、追い焚き配管内も自動で洗浄してくれます。
フルオートタイプのみの機能
自動たし湯
浴槽の中の湯量が、設定した湯量よりも3センチ~4センチほど水位が低くなっていると、自動的にたし湯をしてくれます。
フルオートタイプの機種によっては学習機能が搭載されていて、省エネな給湯ができるものもあります。過去にどの程度の湯量を利用したか、浴槽に張ったお湯の冷め方はどうかといった情報を記憶するので、各家庭に合った給湯方法に調整してくれます。
水位調整も自動で調節
フルオートタイプは水位調節を自動で行うので、誰かがお風呂に入る度に自動ボタンを押す手間がなくなり、いつでもちょうどいい湯量を保つことができます。
配管自動洗浄
浴槽のお湯を捨てる時に、追い焚き用の配管内を綺麗なお湯で自動洗浄してくれるという便利な機能です。
外からは見えないので気付きにくいですが、追い焚き配管の中は意外と汚く、放っておくと皮脂汚れや入浴剤、レジオネラ菌などが溜まってしまいます。配管内を掃除するのは大変なため、自動洗浄機能が付いていると楽に衛生状態を保つことができます。
フルオート給湯器のメリット・デメリット
フルオートタイプのメリット
フルオートタイプの給湯器を使用するメリットは、主に以下の通りです。
- お風呂の温度調節やお湯張りなどが自動で手間なくできる
- 浴槽のお湯が減っても自動足し湯で水位が一定に保たれて快適な入浴ができる
- 入浴検知による自動沸きあげで2番目以降の入浴でも快適に入れる
- 追い焚き配管内の汚れやカビを防ぐことで臭いや健康被害を予防できる
フルオートタイプのデメリット
フルオートタイプの給湯器を使用した場合のデメリットは、主に以下の通りです。
- 本体価格など導入費用がオートタイプよりも高いことが多い
- 追い焚き専用配管の追加工事が必要になる場合がある
- オートタイプよりも光熱費が若干高くなる可能性がある
- リモコンの操作・機能がオートタイプよりも複雑になる
フルオートタイプはオートタイプよりも機能が多く、便利さや衛生面で優れています。家族の人数が多い、残り湯の沸かし直しをよくする、肌荒れや感染症に気を付けたい、という方にフルオートタイプがおすすめです。
フルオート・オートどっちがいい?選ぶ際の基準
フルオートタイプとオートタイプ、どちらの給湯器にするか迷った場合、選ぶ際の簡単な基準として以下のポイントが参考になります。
選ぶ基準 | フルオート | オート |
---|---|---|
予算有無 | 予算に余裕がある | 予算に制限がある |
入浴頻度 | 入浴頻度が高い | 入浴頻度が低い |
入浴人数 | 入浴人数が多い | 入浴人数が少ない |
入浴時間 | 入浴時間が長い | 入浴時間が短い |
リモコン操作 | リモコン操作が得意 | リモコン操作が苦手 |
予算の有無
フルオートタイプは本体価格や工事費用、修理費用が約2万円ほど高くなります。予算に余裕がある場合はフルオートタイプを選び、予算に制限がある場合はオートタイプを選ぶと良いでしょう。
入浴頻度
入浴頻度が高い場合はフルオートタイプを選び、入浴頻度が低い場合はオートタイプを選ぶと良いでしょう。
入浴人数
入浴人数が多い場合はフルオートタイプを選び、入浴人数が少ない場合はオートタイプを選ぶと良いでしょう。
入浴時間
入浴時間が長い場合はフルオートタイプを選び、入浴時間が短い場合はオートタイプを選ぶと良いでしょう。
リモコン操作
リモコン操作が得意な場合はフルオートタイプを選び、リモコン操作が苦手な場合はオートタイプを選ぶと良いでしょう。
フルオートタイプとオートタイプの給湯器費用相場
フルオートタイプとオートタイプの給湯器にかかる導入費用は、以下の表がおおまかな相場目安となります。
号数 | オートタイプ | フルオートタイプ |
---|---|---|
16号 | 120,000~300,000円 | 140,000~350,000円 |
20号 | 130,000~350,000円 | 150,000~400,000円 |
24号 | 140,000~360,000円 | 160,000~450,000円 |
上限金額はメーカー希望価格の定価となっています。基本的には、標準設置工事費用が含まれている金額を想定しています。
まとめ
今回は、フルオートタイプ・オートタイプの給湯器の機能比較、フルオートタイプとオートタイプそれぞれのメリット・デメリットなどを紹介してきました。
給湯器のフルオートタイプとオートタイプの違いは、お風呂の水位検知による自動足し湯・入浴検知・自動沸きあげ・追い焚き配管の自動洗浄を自動で行ってくれるかどうかです。基本的にオートタイプの機能に加えて自動足し湯、入浴検知・自動沸きあげ、水位検知、追い焚き配管自動洗浄などにも対応しているのがフルオートタイプです。
フルオートタイプは、手間なく快適な入浴ができるだけでなく、衛生的にお風呂を利用できるなどのメリットがあります。しかし、本体価格や工事費用、修理費用が高くなるデメリットもあります。オートタイプは、本体価格や工事費用、修理費用が安くなるメリットがあります。しかし、お風呂の温度調節や配管清掃などが手動になるデメリットもあります。
給湯器のフルオートタイプとオートタイプの違いを理解した上で、自分のライフスタイルや予算に合わせて選ぶことが大切です。