給湯器の最適な選び方!種類や機能、ランニングコストなど目的で比較
給湯器は、毎日の生活に欠かせない家電製品のひとつです。しかし、給湯器には様々な種類や機能があり、どれを選べばいいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
給湯器は住まいや家族構成、目的に合わせて見つける際の基準が多少異なってきます。最適な給湯器を選べるよう、事前に知っておくべきことはいくつかあります。
この記事では、住まいに合った設置タイプ、基本的な機能の違い、家族構成から選ぶ号数の基準など、給湯器を選ぶ際のポイントについて解説します。
給湯器の基本的な選び方のポイント
給湯器は見た目や機能はほとんど変わりませんが、設置タイプや給湯能力、環境に配慮しているかどうかなど、各機器ごとに様々な特徴があります。
種類が多すぎてどれを選べばいいのか、どの給湯器が自分の家に合っているのか分からないというケースも少なくありません。住まいの環境や家族構成などによって多少左右されますが、基本的にはガス給湯器がおすすめです。
目的に合わせて給湯器の種類・機能を選ぶ
給湯器選びの基本は、現在使用している給湯器と同じタイプ、同じ設置型の機器に交換することです。そのため、現在の給湯器を確認した上で、設置可能な製品を選ぶ必要があります。
給湯器の基本的な選び方の流れとして、まずは機器の種類と特徴を知ることから始まります。また、以下のポイントで判断して選ぶと失敗しにくいでしょう。
- 住まいに合った設置タイプか
- 希望する給湯器の基本的な機能
- オートとフルオートどちらか
- 家族構成と給湯器の号数
- 従来の給湯器か高効率給湯器か
自分で選べない場合は給湯器業者やメーカーに相談を
給湯器を自分で選ぶことが難しい場合もあります。例えば、現在使っているガス給湯器と同じタイプや号数が必要かどうか、設置場所や配管の条件が変更できるかどうか、予算や工事期間などが気になる場合などです。
そのような時は、専門的な知識や経験を持つ給湯器業者やメーカーに相談することをおすすめします。無料で見積もりや相談を受け付けてくれるところも多くあります。相談者のニーズや状況に合わせて、最適なガス給湯器または高効率給湯器などを提案してくれるでしょう。
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給湯器の種類と各々の特徴を比較して選ぶ
給湯器には、熱源や機能によって様々な種類があります。それぞれの特徴やメリット・デメリットを知って、自分のライフスタイルや予算に合った給湯器を選びましょう。
種類 | 製品 | 燃料 | 発電 | 給湯 | 費用 | 補助金* |
---|---|---|---|---|---|---|
ガス給湯器 | ─ | ガス | × | ○ | 10~25万円前後 | × |
潜熱回収型ガス給湯器 | エコジョーズ | ガス | × | ○ | 30~50万円前後 | × |
石油給湯器 | ─ | 灯油 | × | ○ | 20~35万円前後 | × |
潜熱回収型石油給湯器 | エコフィール | 灯油 | × | ○ | 30~50万円前後 | × |
電気給湯器 | エコキュート | 電気 | × | ○ | 40~70万円前後 | ○ |
ハイブリッド給湯器 | エコワン・ユコアHYBRID | ガス・電気 | × | ○ | 60~80万円前後 | ○ |
家庭用燃料電池 | エネファーム | ガス(水素) | ○ | ○ | 130~280万円前後 | ○ |
※特定の高効率給湯器以外は、国の補助金制度などがありませんが、各自治体等では設けられている場合があります。
ガス給湯器
ガス給湯器は、ガスを燃焼させて金属パイプを加熱し、パイプを経由して水を熱するタイプの給湯器です。蛇口などの水栓を開けると同時にバーナーが着火し、瞬間的にお湯を作り出します。瞬間式と言われる仕組みで、ガス給湯器では多く採用されています。
ガス給湯器には、以下のような種類があります。
種類 | 給湯 | 追焚 | 暖房 |
---|---|---|---|
ガスふろ給湯器 | ○ | ○ | × |
ガス給湯器 (高温水供給式タイプ) |
○ | × | × |
ガス給湯専用機 | ○ | × | × |
ガス給湯暖房用熱源機 | ○ | ○ | ○ |
機器導入にかかる費用の目安としては、ガス給湯専用の機種で5~10万円、ガス給湯+追い焚き対応の機種で10~20万円、ガス給湯+追い焚き+暖房機能対応の機種で15~25万円程度です。
ガスふろ給湯器
ガスふろ給湯器は、キッチンやシャワーなどの給湯と、お風呂の自動お湯はりや追い焚き機能を備えたタイプです。また、ガスふろ給湯器には、設置フリータイプ・高温水供給タイプ・浴槽隣接設置タイプの3種類があります。
設置形式 | 高温水供給タイプ | 設置フリータイプ | 浴室隣接設置タイプ |
---|---|---|---|
基本機能 |
・自動湯はり ・高温差し湯 |
・自動湯はり ・追焚機能 |
・自動湯はり ・追焚機能 |
給湯範囲 |
・お風呂 ・シャワー ・キッチン ・洗面所 |
・お風呂 ・シャワー ・キッチン ・洗面所 |
・お風呂 ・シャワー ・キッチン ・洗面所 |
設置場所 | 浴槽から離れても設置可能 | 浴槽から離れても設置可能 | 浴槽に隣接させて設置 |
浴槽の穴 | 1つ | 1つ | 2つ |
設置フリータイプ
設置フリー式は、給湯器から離れた浴槽でもポンプでお湯を循環させて湯はり・追い焚きができるタイプです。浴槽に対しての給湯器設置場所に制約を受けることがほとんどありません。
浴槽隣接設置タイプ
浴槽隣接設置式は、一軒家などの戸建住宅で浴室に隣接してガス給湯器を設置するタイプです。上下2つの穴でお湯を循環させて、風呂を沸かします。また、台所・洗面所・浴室などの給湯と、お湯はり・追い焚きの機能を備えています。
高温水供給タイプ
高温水供給式は、浴槽から離れた場所に給湯器を設置可能で、自動湯はり機能が付いているタイプです。浴槽に対しての給湯器設置場所に制約を受けることがほとんどありません。
自動お湯はりを備えていますが、保温と追い焚きはできません。浴槽のお湯がぬるくなった場合、約80℃の高温水を供給する高温差し湯によって温めます。
ガス給湯専用機
ガス給湯専用機は、台所や洗面所など蛇口にお湯を供給できる給湯専用タイプです。ホースなどを用いて浴槽にお湯を貯めることもできますが、お湯はりや追い焚きはできません。
ガス給湯暖房用熱源機
ガス給湯暖房用熱源機は、給湯、自動お湯はり・追い焚き、温水暖房の機能を備えたタイプです。ポンプでお湯を循環させて、自動お湯はり・追い焚きができます。浴室暖房乾燥機やミストサウナ、床暖房などが使用できます。
ガス給湯器のメリット・デメリット
メリット
ガス給湯器のメリットは、瞬間的にお湯を作ることができるため、本体が小さく設置場所に困らないことや、シェア率が高いので選択肢が豊富なことです。
デメリット
ガス給湯器のデメリットは、電気やガスが止まると使用できないことや、水道水の温度が低い時期はお湯の出が細くなることです。
潜熱回収型ガス給湯器
潜熱回収型ガス給湯器(高効率ガス給湯器)は、エコジョーズとも呼ばれるタイプの給湯器です。従来型のガス給湯器では排気ロスとなっていた排気中の潜熱(水蒸気として大気に放出されていた熱)を回収し、水を予熱することで給湯熱効率を約95%まで高められます。
従来型のガス給湯器は一次熱交換器だけの設置ですが、潜熱回収型ガス給湯器の場合は二次熱交換機を設置しています、そのため、ガスの使用量を抑えられ、CO2の排出量削減に繋がります。
メリット
潜熱回収型ガス給湯器のメリットは、従来型よりもガス代やCO2排出量を削減できることや、補助金制度などが利用できることです。
国の補助金制度は終わってしまいましたが、各自治体等によっては補助金・助成金対象になっていることがあります。
デメリット
潜熱回収型ガス給湯器のデメリットは、本体価格が従来のガス給湯器より若干高く、設置にも別途工事費がかかることです。
石油給湯器
石油給湯器は、灯油を燃料としてお湯を作る給湯器です。石油給湯器には、水道直圧式と貯湯式(減圧式)という2種類のタイプがあります。
- 水道直圧式
- 貯湯式(減圧式)
ランニングコストが低いということもあり、灯油をまとめて安く購入する寒冷地域などでは採用されることが多いです。
機器の導入にかかる費用の目安としては、貯湯式の給湯専用の機種で12~16万円、オートタイプ対応の機種で18~22万円、フルオートタイプ対応の機種で20~25万円程度です。
また、水道直圧式の給湯専用の機種で20~22万円、ガス給湯+追い焚き対応の機種で22~25万円、ガス給湯+追い焚き+暖房機能対応の機種で25~30万円程度です。
水道直圧式
水道直圧式とは、給湯が必要な時に使う分だけのお湯を作るタイプです。お湯を使うときに必要な分だけお湯を作るので、無駄なエネルギー消費を抑えられます。
また、お湯の水圧が水道と変わらないため、出が悪くならずに使用できます。さらに、給湯器のサイズも小さくてコンパクトなので、設置場所にも困りません。
貯湯式(減圧式)
貯湯式(減圧式)とは、給湯器内部に貯湯槽を備えており、常に一定量のお湯を貯めておくタイプです。貯湯槽や内部の部品はステンレス製であることが多く、耐久性や耐食性に優れています。
水道直圧式と比べると水圧が弱くなりますが、高圧力型を選ぶことで2階など高所への給湯も対応可能になります。
石油給湯器のメリット・デメリット
メリット
石油給湯器のメリットは、パワフルな能力に加えて寿命が長く、10年以上使用できることです。また、灯油の価格が安い時期にまとめ買いすることで、ランニングコストを抑えることもできます。
デメリット
石油給湯器のデメリットは、燃料となる灯油が切れた場合、オイルタンクに補給が必要になることです。加えて、灯油切れによって灯油が流れていた配管内に空気が入り込んでしまうと、空気抜き(エア抜き)の対応が必要になります。
また、ガス給湯器と比較して初期費用が高いことや、燃焼時に臭いが発生することもデメリットと言えます。
潜熱回収型石油給湯器
潜熱回収型石油給湯器(高効率石油給湯器)は、エコフィールとも呼ばれるタイプの給湯器です。従来型の石油給湯器では排気ロスとなっていた高温の潜熱(大気に放出されていた熱)を回収して水を予熱することで、給湯熱効率を約95%まで高めることができます。
従来の石油給湯器の場合は排気ガスが約200℃の温度ですが、エコフィールの場合は排気ガスの温度が約60℃にまで下がっています。
メリット
潜熱回収型石油給湯器のメリットは、従来型よりも灯油代やCO2排出量を削減できることや、一部の自治体において補助金制度などが利用できることです。
国の補助金制度は終わってしまいましたが、各自治体等によっては補助金・助成金対象になっていることがあります。
デメリット
潜熱回収型石油給湯器のデメリットは、ガス給湯器ほどは安く購入できず、設置にも別途工事費がかかることです。また、従来の排気筒よりも高価なエコフィール専用の排気筒が必要になります。
電気給湯器(電気温水器、家庭用ヒートポンプ式給湯器)
電気給湯器は、電気を使って水を熱し、沸かせてお湯を作るタイプの給湯器です。電気温水器(湯沸器含む)とヒートポンプ給湯機の総称です。
電気給湯器には、主に以下のような種類があります。
- 電気温水器
- 家庭用ヒートポンプ式給湯器(エコキュート)
電気温水器
電気温水器は、電気ヒーターと水とで熱交換を行って加熱するタイプの給湯器で、貯湯式と瞬間式のものがあります。基本的な仕組みとしては、ほとんど電気ポットと同じです。
貯湯式
タンクに水を貯めておいて電気ヒーターで加熱するタイプです。お湯を使わない時でもタンク内の温度を一定に保つため、常時消費電力がかかります。
タンクレス式
水栓を開けると同時に電気ヒーターで加熱するタイプです。使用する分だけ電力を消費するため、ランニングコストが若干低くなります。
家庭用ヒートポンプ式給湯器(エコキュート)
家庭用ヒートポンプ式給湯器は、エコキュートとも呼ばれるタイプの電気給湯器です。空気中の熱を利用して水を加熱するヒートポンプ方式で、CO2冷媒を使用しています。貯湯式のものが一般的です。
メリット
家庭用ヒートポンプ式給湯器のメリットは、ガスや灯油よりも電力代やCO2排出量を大幅に削減可能、各種補助金・助成金制度などが利用できることです。
また、お湯の温度が安定していることなどもメリットと言えます。
デメリット
家庭用ヒートポンプ式給湯器のデメリットは、従来のガス給湯器などよりも本体価格が高く、設置にも別途工事費がかかることです。
また、空気中の熱を利用するため、外気温が極端に低い時期はエネルギー効率が低下することや、低周波音など運転音が大きいこともデメリットと言えます。
長期的に使用していて定期的な清掃を行っていない場合、貯湯タンク内の底に水垢などの汚れが蓄積し、臭いが発生することもあります。
ハイブリッド給湯器
ハイブリッド給湯器は、ガスと電気の両方を熱源として使うタイプの給湯器です。ガスで水を加熱し、電気で余熱を回収して再利用することで、高効率な給湯を実現します。高効率ガス給湯器、電気式ヒートポンプ、貯湯タンクの3ユニットを組み合わせた構造になっています。
メリット
ハイブリッド給湯器のメリットは、ガスや灯油のみよりも電力代やCO2排出量を削減できることや、初期導入時に補助金制度が利用できることです。
また、停電した場合は非常用電源を使えば、ガス熱源機によってお湯を沸かすことが可能です。一方、ガスの供給が止まった場合などにおいては、溜めておいたお湯を使用できることが最大のメリットと言えます。
デメリット
ハイブリッド給湯器のデメリットは、まだ普及していないため本体価格が高く、設置にも別途工事費がかかることです。また、設置場所が制限されることがあったり、温暖地域の場合は光熱費が上がる可能性などのリスクもあります。
家庭用燃料電池
家庭用燃料電池は、エネファームとも呼ばれるタイプの給湯器で、都市ガス・LPガス等を燃料にしています。ガスを水素に分解し、空気中の酸素と反応させて発電する方式で、発電時に発生する熱を利用して水を加熱します。貯湯式のものが一般的です。
主に電気と熱を同時に取り出せる高効率なコージェネレーションシステムのことを家庭用燃料電池発電システムと言います。
参考リンク:家庭用燃料電池発電システム – 日本電機工業会
メリット
家庭用燃料電池の主なメリットは、自家発電できるため電力代やCO2排出量を大幅に削減できる、発電効率に優れている、騒音が発生しない、国や各自治体等の補助金・助成金制度が利用できることです。
具体的な導入メリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 自家発電できる
- ガス会社によってはガス料金の割引を受けられる
- 電力代やCO2排出量を大幅に削減できる
- 発電効率に優れている
- 補助金制度などが利用できる
- 水素と酸素があれば安定して発電できる
- 化学反応のみで発電してお湯を沸かせているので騒音が発生しない
- 発電などの際に排出されるのも水のみ
デメリット
家庭用燃料電池のデメリットは、導入数が少なく普及していないため非常に本体価格が高く、設置にも相応の工事費がかかることです。また、貯湯タンク設置のために大きなスペースが必要なこと、ガスが止まってしまうと発電できないなどのデメリットがあります。
それぞれの給湯機器にはメリットとデメリットがありますので、各自ライフスタイルや予算に合わせて選びましょう。
給湯器ごとのランニングコスト比較
給湯器におけるランニングコストは、機器の種類や燃料によって大きく異なります。基本的には、従来の給湯器よりも省エネ性能に優れた高効率給湯器の方が、光熱費を抑えることができます。以下の表で、給湯機器ごとのおおまかな光熱費目安を確認してみましょう。
ランニングコストが一番安いのはエコキュート
給湯機器 | 燃料 | 年間光熱費 |
---|---|---|
ガス給湯器 | 都市ガス | 約75,000円 |
LPガス | 約110,000円 | |
高効率ガス給湯器 | 都市ガス | 約65,000円 |
LPガス | 約95,000円 | |
ハイブリッド給湯器 | 都市ガス | 約45,000円 |
LPガス | 約55,000円 | |
石油給湯器 | 灯油 | 約70,000円 |
高効率石油給湯器 | 灯油 | 約60,000円 |
電気温水器 | 電気 | 約110,000円 |
家庭用ヒートポンプ給湯器 | 電気 | 約30,000円 |
一般的に、ランニングコストが一番安いのはエコキュート(家庭用ヒートポンプ式給湯器)と呼ばれる電気給湯器です。エコキュートは、空気中の熱を利用してお湯を作るヒートポンプ技術を採用しており、ガスや灯油などの燃料を必要としません。夜間の電気料金が安い時間帯に電力を消費してお湯をわかすため、光熱費が大幅に削減できます。
例えば、4人家族の場合で年間のランニングコスト*を比較すると、エコキュートは約2.7万円、エコフィール(灯油)は約6万円、エコジョーズ(都市ガス)は約6.3万円、石油給湯器は約6.8万円、ガス給湯器(都市ガス)は約7.5万円、電気給湯器は約10万円となります。
このように、エコキュートは他の給湯器に比べて年間のランニングコストが最も安いことがわかります。
※上記の年間ランニングコストは、住まいのエリアや契約している電力会社、ガス会社などによっても異なるため、おおまかな目安です。
【年間コスト例】東京電力エナジーパートナーエリアの場合
画像出典元:低ランニングコスト|はじめてのエコキュート|エコキュート|給湯・暖房|Panasonic
住まいに合った設置タイプの給湯器を選ぶ
主に屋内設置型と屋外設置型の2タイプに分かれている
ガス給湯器は、主に屋内設置型と屋外設置型の2タイプに分かれています。屋内設置型は室内や浴室などに設置するタイプで、屋外設置型は屋外やベランダなどに設置するタイプです。壁にかかっているか地面に据置されているかなどの違いもあります。
それぞれの設置タイプにメリットとデメリットがあります。例えば、屋内設置型は、スペースを有効活用できる反面、排気筒工事が必要で費用が高くなります。屋外設置型は、排気筒工事が不要で費用が安く済む反面、配管の凍結防止対策などが必要です。
寒冷地などでは、氷や雪の塊などによる故障を防ぐ目的で、屋内設置型を選ぶことも多いでしょう。住まいの条件や環境、予算に合わせて、適切な設置タイプを選ぶことが大切です。
戸建てに設置できる給湯器のタイプ
- 屋外据置型
- 屋外壁掛型
- 屋内設置型
屋外据置型
屋外据置型は、給湯器を地面やブロックなどに据え付けるタイプです。給湯機器の側面付近から配管が出ており、浴槽内の穴の数がひとつのものです。
メリット
貯湯式の給湯器を使うことができる、給湯器本体や周辺のゴミや汚れなどを掃除しやすいなどのメリットがあります。
デメリット
屋外に設置するため雨風や寒暖の影響を受けやすく、凍結防止対策や保温対策が必要なほか、壁掛型に比べるとサイズは大きくなるなどのデメリットがあります。
屋外壁掛型
屋外壁掛型は、給湯器を壁面に掛けるタイプです。給湯機器の下から配管が出ており、浴槽に穴がひとつある場合が多いです。
メリット
下方スペースが空くため有効活用できる上、給排気口の煙突に触れにくいので安全です。また、据置型よりもコンパクトで小さく、水没のリスクが低いなどのメリットもあります。
デメリット
給湯器本体の上部などを掃除しにくい、稼働中の振動や音などが室内に聞こえる可能性のほか、壁にも負担がかかるなどのデメリットがあります。
屋内設置型
屋内設置型は、給湯器を室内や浴室などに設置するタイプで、排気筒を通して排気を行います。場合によっては、外気に接する壁などを貫通して給排気筒を屋外に出す工事が必要になります。
メリット
屋内に設置するため雨風や寒暖の影響を受けくく、凍結防止対策や保温対策が不要なほか、リモコン線などの腐食や劣化が起きにくいなどのメリットがあります。
デメリット
屋内のスペースが狭くなる、排気筒や諸々の追加工事費が発生することが多い、設置場所の制限などのデメリットがあります。
マンションや集合住宅に設置できる給湯器のタイプ
マンションや集合住宅の場合、給湯器の設置場所は玄関横のPS内(パイプスペース・パイプシャフト)やベランダなどが一般的です。PSは、ガスメーターや配管などが収められているスペースで、扉が付いている場合や付いていない場合があります。
マンションや集合住宅に設置できる給湯器のタイプは、以下のように分類できます。
- PS設置型
- PS扉内設置型
- ベランダ設置型
PS設置型
PS設置型は、給湯器をPS内(パイプスペース・パイプシャフト)に設置し、扉を付けないタイプです。排気口は通路側にあります。
画像出典元:湯ドクター
メリット
機器をPS内に格納することで、扉はないものの見た目がすっきりします。また、PS内に設置しているので雨風や寒暖の影響を受けにくいというメリットがあります。
デメリット
扉がないため、給湯器の音や熱を通路に伝える可能性が生じます。また、排気口からの熱風や水滴に注意する必要があります。
PS扉内設置型
PS扉内設置型は、給湯器をPS内(パイプスペース・パイプシャフト)に設置し、扉で覆うタイプです。排気口は扉の上部などにあります。
画像出典元:湯ドクター
メリット
扉を閉められるため、給湯器本体が外部から見えないよう、機器をPS内に隠せます。また、PS内に設置することで雨風や寒暖の影響を受けにくく、凍結防止対策が不要であるというメリットもあります。
デメリット
設置条件によっては、排気タイプを前方・上方・後方と変える必要が生じます。
ベランダ設置型
ベランダ設置型は、給湯器をベランダの壁面に掛けるタイプです。マンションや集合住宅では、共用部分への配管工事や換気工事が難しい場合が多いため、ベランダ設置型も採用されています。
メリット
ベランダ設置型は、機器のサイズが小さく、極小スペースで設置できます。また、デザイン性も高いため、外観を損なわないというメリットがあります。
る。
デメリット
屋外に設置するため、配管カバーなど凍結防止対策が必要です。
ガス給湯器に備わった基本的な機能で選ぶ
給湯機器 | 基本機能 |
---|---|
給湯専用機 | 給湯機能のみ |
高温水供給式 | 給湯+自動湯はり+差し湯機能 |
ふろ給湯器 | 給湯+自動湯はり+追い焚き機能 |
給湯暖房熱源機 | 給湯+自動湯はり+追い焚き+温水暖房機能 |
給湯専用機
給湯専用機は、主にキッチンや洗面所などの蛇口でお湯を使うだけのタイプです。そのため、お風呂の自動湯はりはできません。蛇口からお湯を出せますが、手動で開け締めする必要があります。
メリット
シンプルでコンパクトなので、設置場所に困らない上に価格もガス給湯器では最も安いです。
デメリット
自動湯はりや追い焚きなどは備えておらず、浴槽にお湯を貯める場合は近くの蛇口から供給する必要があります。そのため、手間がかかるという点がデメリットと言えます。
高温水供給式
高温水供給式の給湯器は、キッチンや洗面所における給湯だけでなく、浴室でもお湯を自動湯はりできるタイプです。お風呂の追い焚きはできないものの、お湯が冷めてきた場合に好みの湯温に調節できる高温差し湯機能が備わっています。
メリット
導入しやすい価格帯でありながら、お風呂を快適に利用できる最低限の機能が備わっています。主にアパートやマンションなど、一部の集合住宅で採用されています。
デメリット
高温差し湯によって冷めてきた湯温を調整できるとはいえ、追い焚きはできず保温もできないため、給湯専用とそこまで大差がありません。
ふろ給湯器
ふろ給湯器は、キッチンや洗面所における給湯だけでなく、浴室でもお湯を自動湯はりできるタイプです。お風呂の追い焚き機能などが備わっており、一般的な給湯器として普及しています。
メリット
設置スペースをそこまで取らず、導入設置費用もあまりかからず、浴室で快適にお風呂を楽しむための最低限の機能があります。
デメリット
給湯専用機や高温水供給式よりも、機能分で価格が少々高くなります。実質的なデメリットはありません。
給湯暖房熱源機
給湯暖房熱源機は、キッチンや洗面所における給湯だけでなく、浴室でもお湯を自動湯はりできるタイプです。追い焚き・温水暖房機能も備えたタイプです。床暖房やファンヒーターなどと連動して、室内を暖めることができます。
メリット
給湯と暖房の両方ができるので、光熱費の節約になるほか、床暖房などによって快適な暖房空間を作ることができます。
デメリット
給湯専用機やふろ給湯器よりも大きいので、設置場所に制限がある上に価格も高く、温水暖房用の配管工事などが必要です。
オートとフルオートで給湯器を選ぶ
給湯器におけるオートとフルオートの機能面の違いは、主に以下のとおりです。
機能 | オートタイプ | フルオートタイプ |
---|---|---|
給湯 | ○ | ○ |
自動湯はり | ○ | ○ |
おいだき | ○ | ○ |
自動おいだき・保温 | ○ | ○ |
自動足し湯 | × | ○ |
配管自動洗浄 | × | ○ |
本体価格 | 安い | 高い |
オートタイプ
オートタイプは、給湯器リモコンの自動ボタンを押すと、設定温度で設定湯量に達するまで自動お湯はりを開始します。また、湯温が下がると自動で追い焚きをするほか、設定温度になるよう自動で保温を行います。
メリット
フルオートよりも給湯器の価格が安く済むことです。最低限の機能で十分という場合におすすめです。
デメリット
自動足し湯や配管自動洗浄などの機能がありません。
フルオートタイプ
フルオートタイプは、給湯器リモコンの自動ボタンを押すと、設定温度で設定湯量に達するまで自動お湯はりを開始します。
また、設定湯量よりも一定量水位が下がると自動的に足し湯され、湯温が下がると自動で追い焚きをするなど、設定温度になるよう自動で保温を行います。
浴槽内のお湯を排出する際、おいだき配管を綺麗なお湯で自動洗浄します。全てお任せできる全自動タイプです。
メリット
複数人が利用するような場合、湯温を設定温度で保つのに加え、浴槽内のお湯が減っても湯量が保たれるため、一切煩わしさがなく快適です。
また、お湯を捨てる際に自動で配管を洗浄してくれるため、配管内が常にクリーンな状態に保たれ、雑菌などが繁殖するリスクが低いです。
デメリット
オートよりも給湯器そのものの価格が高くなってしまいます。
家族構成から給湯器の号数を選ぶ
画像出典元:号数(能力):知っておきたい給湯器の基礎知識 – リンナイの給湯器
給湯器の号数を選ぶ基準としては、家族構成やどのくらいのお湯を使うかなどによって左右されます。一般的な目安としては、以下のとおりです。
号数 | 家族構成 | 特徴 |
---|---|---|
16号 | 単身世帯~2人家族 | 給湯能力が低く、同時にお湯を使うと温度が下がることがある。価格は安い。 |
20号 | 2~4人家族 | 給湯能力が中程度で、同時にお湯を使っても温度が下がりにくい。価格はやや高い。 |
24号 | 4人以上の家族 | 給湯能力が高く、同時にお湯を使っても温度が下がらない。価格は高い。 |
16号
16号は、単身世帯や2人家族など、お湯の使用量が少ない場合に適しています。給湯能力は低く、同時にお湯を使うと出湯量や温度が下がることがあります。そのため、キッチンと浴室などで同時にお湯を使うことは避けた方が良いでしょう。
基本的には、一度に複数の場所でお湯を使用しない単身世帯に対応した号数です。
20号
20号は、2~4人家族など、お湯の使用量が中程度の場合に適しています。給湯能力は中程度で、同時にお湯を使っても出湯量や温度が下がりにくいです。そのため、キッチンと浴室などで同時にお湯を使っても問題ありません。
基本的には、同時に沢山お湯を使うことの少ない2人暮らし世帯に対応した号数です。
24号
24号は、4人以上の家族など、お湯の使用量が多い場合に適しています。給湯能力は高く、同時にお湯を使っても出湯量や温度が下がらないです。そのため、キッチンと浴室などで同時に沢山のお湯を使っても快適です。
基本的には、同時に沢山お湯を使うことのある4人暮らし世帯に対応した号数です。
従来のガス給湯器・高効率給湯器どちらかを選ぶ
従来のガス給湯器とエコジョーズのような高効率給湯器では、どちらを選ぶのが良いのか悩む方も多いことでしょう。
以下の表から、従来のガス給湯器と高効率給湯器(エコジョーズ)それぞれの導入費用や年間のガス料金などの特徴を知って、機器を選ぶ際の参考にしてください。
従来型給湯器 | 高効率給湯器 | |
---|---|---|
排気ガス | 約200℃ | 約50℃ |
導入費用 | 約10~20万円 | 約20~30万円 |
年間のガス料金 | 約7.5~11万円 | 約6.5~9万円 |
特徴 | 燃焼したガスの熱のみをそのままお湯に伝える。 | 燃焼したガスの熱だけでなく、排気ガスの熱も回収してお湯に伝える。 |
注意点 | 排気ガスの熱を無駄にするため、環境負荷が高い。 | 排気ガスの水分を凝縮するため、排水管や凍結対策が必要。 |
従来型(一般型)給湯器
従来型(一般型)給湯器は、燃焼したガスの熱をそのまま水に伝えて沸かすタイプです。シンプルで本体価格が安いのがメリットですが、排気ガスの熱を無駄にするため、環境負荷が高く、光熱費もある程度かかります。
メリット
最も普及している給湯器なので、機器の種類をはじめ選択肢が多く、価格も安いです。
デメリット
約200℃の排気ガスを排出するため環境負荷が高く、高効率給湯器と比較すると光熱費もかかります。
高効率(エコジョーズ)給湯器
高効率(エコジョーズ)給湯器は、燃焼したガスの熱だけでなく、排気ガスの熱も回収して水に伝えて沸かすタイプです。環境負荷が低く、ある程度は光熱費の節約になりますが、導入費用が高くなります。
メリット
高温の排気ガスを排出しないため環境負荷が低く、熱効率が良いので光熱費の節約に繋がります。
デメリット
従来のガス給湯器よりも本体価格・工事費用が高く、導入費用がかかります。また、機器設置の際にはドレン排水の配管工事が必要です。
従来のガス給湯器やエコジョーズ以外の選択肢
従来のガス給湯器やエコジョーズ以外にも、エコキュートやエコフィール、ハイブリッド給湯器など様々な高効率給湯器が開発・販売されています。
エコキュート
エコキュートは、空気中の熱を利用してお湯を沸かす電気式の給湯器です。ガスを使わないため、火災や一酸化炭素中毒の心配がありません。また、太陽光発電と連携することで、さらに光熱費を節約できます。
エコフィール
エコフィールは、ガスと電気の両方を使ってお湯を沸かす給湯器です。ガスだけでは温度が上がりにくい場合に電気で補助することで、効率的にお湯を沸かします。また、太陽光発電と連携することで、さらに光熱費を節約できます。
エコワン・ユコアHYBRID
エコワン・ユコアHYBRIDなどのハイブリッド給湯器は、ガスと電気の両方を使ってお湯を沸かす給湯器です。ガスで沸かしたお湯を電気で保温することで、無駄なガス消費を抑えます。また、太陽光発電と連携することで、さらに光熱費を節約できます。
これらの高効率給湯器は、環境負荷や光熱費をある程度抑えられる代わりに、初期導入費用が従来のガス給湯器よりも倍以上かかることがほとんどです。
近年では、発電機能も兼ね備える家庭用燃料電池(エネファーム)などのハイスペック製品も注目を集めています。
給湯機器の選び方に関するよくある質問
ガス給湯器はどこのメーカーが良い?
ガス給湯器は、日本では主にノーリツ・リンナイ・パロマ・ハーマン・サンポットなどのメーカーが有名です。それぞれに特徴や強みがありますが、どのメーカーも品質や性能には信頼できるものです。
メーカー選びのポイントとしては、以下のようなことに注意すると良いでしょう。
- 自分の住まいやニーズに合ったタイプや号数の給湯器があるかどうか。
- メーカーのアフターサービスや保証期間が充実しているかどうか。
- メーカーの評判や口コミを参考にする。
また、メーカーだけでなく、給湯器業者や販売店も重要な選択肢です。工事やメンテナンスなどを行ってくれる業者や店舗を選ぶ際には、以下のようなことに注意すると良いでしょう。
- 見積もりや相談が無料で行えるかどうか。
- 工事やメンテナンスの費用や期間が明確であるかどうか。
- 工事やメンテナンスの品質や対応が良いかどうか。
まとめ
今回は、給湯機器の主な種類と特徴、住まいや家族構成にあった選び方、目的別の給湯機器の選び方などについて紹介してきました。
給湯器は、住まいのタイプや家族構成・目的に合わせて、最適な設置タイプや機能・種類・号数を選ぶことが大切です。また、メーカーや業者・販売店の選択も重要です。
自分で選べない場合は、専門的な知識や経験を持つ給湯器業者やメーカーなどに、どの製品が住まいの環境に適しているか相談することをおすすめします。
給湯器は毎日使うものであり、一度設置すれば長い期間使用するものです。機能や性能だけでなく、設置場所や外観も考慮して最適な給湯器を選ぶことが大切です。
設置後に後悔しないためにも、自分たちにあう給湯器を選ぶようにしましょう。